- 著者
-
太田 裕子
野口 球子
松原 康美
- 出版者
- 公益社団法人 日本栄養士会
- 雑誌
- 日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.5, pp.436-442, 2008 (Released:2012-01-05)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
-
1
近年、病態などを考慮し特定の栄養素を強化した経腸栄養剤が数多く開発され、活用されるようになった。今回、われわれは高齢の難治性褥瘡患者に対し、アルギニン配合の高濃度液状栄養食を投与し、若干の知見を得たので報告する。 症例は、入院時に仙骨部と腸骨部左右に褥瘡あり。仙骨部は黒色壊死と内部にポケット、感染兆候を認めた。局所ケア、半消化態栄養剤による栄養補給を行うとともに、体圧分散を図ったが、褥瘡改善を認めないため、栄養剤をアイソカルR プラスEX に変更した。その結果、褥瘡、生化学データともに改善したが、投与開始後9 日目よりBUN が上昇し、36~53 mg/dl で推移した。 BUN 上昇は、栄養剤の投与量をエネルギーに主眼をおいて設定したため、アルギニンが増加し尿素産生に影響を与えることになったためと考える。高エネルギーを必要とする症例に対し、アルギニン配合の栄養剤を投与する場合には、単独投与を避け、他の栄養剤と組み合わせるなどの工夫が必要であると考える。