著者
深谷 達史 植阪 友理 太田 裕子 小泉 一弘 市川 伸一
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.512-525, 2017 (Released:2018-02-21)
参考文献数
40
被引用文献数
1 5

近年の教育界では,基礎的な知識・技能の習得と活用に加え,自立的に学習を進める力として学習方略の習得が求められている。「教えて考えさせる授業」は,この両者の育成を目指したもので,(a)教師が意味理解を重視して基本事項を説明する,(b)ペア説明などで学んだことを生徒が確認する,(c)発展的事項を協同で解決する,(d)授業で学んだことをふり返るという4段階からなる。本研究では,研究授業や講演を含む,教えて考えさせる授業を中心とした算数の授業改善に取り組んだ公立小学校において,導入間もない1年目と導入から時間が経った2年目の比較を通じて,児童の学力と教師の指導がどう変わったかを検証した。全国学力・学習状況調査の結果,2年目の方が,算数A問題とB問題の成績が高く,算数Aの標準偏差が低かった。また,問題解決時の図表活用方略の使用を調べたところ,2年目の方が,図を使わずに不正解のケースが少ない一方,図を使って正解に至るケースが多かった。さらに,教師が指導案を作成する課題において,的確な働きかけを表す指導案得点が2年目の方が高い傾向が見られた。考察では,これらの成果を生んだ理由などを考察した。
著者
太田 裕子 野口 球子 松原 康美
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.436-442, 2008 (Released:2012-01-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1

近年、病態などを考慮し特定の栄養素を強化した経腸栄養剤が数多く開発され、活用されるようになった。今回、われわれは高齢の難治性褥瘡患者に対し、アルギニン配合の高濃度液状栄養食を投与し、若干の知見を得たので報告する。 症例は、入院時に仙骨部と腸骨部左右に褥瘡あり。仙骨部は黒色壊死と内部にポケット、感染兆候を認めた。局所ケア、半消化態栄養剤による栄養補給を行うとともに、体圧分散を図ったが、褥瘡改善を認めないため、栄養剤をアイソカルR プラスEX に変更した。その結果、褥瘡、生化学データともに改善したが、投与開始後9 日目よりBUN が上昇し、36~53 mg/dl で推移した。 BUN 上昇は、栄養剤の投与量をエネルギーに主眼をおいて設定したため、アルギニンが増加し尿素産生に影響を与えることになったためと考える。高エネルギーを必要とする症例に対し、アルギニン配合の栄養剤を投与する場合には、単独投与を避け、他の栄養剤と組み合わせるなどの工夫が必要であると考える。
著者
佐渡島 紗織 太田 裕子 冨永 敦子 ドイル 綾子 内田 夕津
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

早稲田大学における「学術的文章作成」授業(主に初年次生対象、領域横断内容、e ラーニング、大学院生が個別フィードバックする、全8 回1 単位)の成果調査を行った。三観点五段階の学術的文章評価ルーブリックを開発し、授業を全回視聴し課題をすべて提出した履修者707 人の、初回提出文章と最終回提出文章を評価し差を調査したところ、文章作成力が有意に伸びていることがわかった。また、付与されたコメントを分類するためのコードも開発し、コメントを分類した。文章作成力を伸ばした履修者とあまり伸びなかった履修者との間で、付与されたコメントの種類に有意差を認めることはできなかった。