- 著者
 
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             松原 慎
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 日本心身医学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 心身医学 (ISSN:03850307)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.56, no.10, pp.993-1000, 2016 
 
          
          
          
        
        
        
        <p>機能性消化管疾患 : 診療ガイドライン2014が上梓された. その中でも過敏性腸症候群 (IBS) の治療の第3段階においては, 催眠療法, 認知行動療法 (CBT), 弛緩法がエビデンスのある有効な治療として推奨された<sup>1) </sup>. これらは心身医学の専門医が積極的に適用すべき治療法である. しかし一方で, 第3段階の治療を複数はおろか一つでも縦横に使いこなせる心療内科医もまだ十分には育成されていないと思われる. 従来の常識とは異なり, 現代の催眠は, オーダーメイドが可能なことから自律訓練法 (AT) より支配性が少なく安全に用いることができる. しかし, エビデンスのある腸指向催眠療法 (GDH) は伝統的催眠の手法を用いている. またCBTも瞑想およびリラクセーションを取り入れ, 催眠もCBTも変性意識を扱うようである. 本稿では, 催眠療法およびその近縁であるATとCBTのエビデンスの紹介および実践上の注意点, 各治療法の長短について, 横断的に比較検討して概説した.</p>