著者
松原 文
出版者
立教大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

「アーサー王物語」は13世紀初頭、古仏語作品からの翻案によりドイツ語圏に導入された。13世紀半ば以降は、いわゆる「古典」作品の持っていた作品構造は崩され、韻文から散文への流れも見られる。形式の変化と同時に内容も変容し、騎士の自己陶冶とアーサー王宮廷の繁栄への収斂性はなくなり、奇想天外な冒険が繰り返される。本研究は、ヴォルフラムの『パルチヴァール』が後代の詩人たちに新たな取り組みの一つの足掛かりとなったと考え、作品間の比較を行う。個性の誕生という切り口で人物像を、受容者の意識変化という切り口で諧謔性を分析する。