著者
早川 弘輝 末永 昌宏 飛永 純一 武内 有城 内村 正史 野村 尚弘 飯田 俊雄
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1331-1335, 2001-08-01
被引用文献数
8

症例は41歳の女性. 手術歴はない. 平成3年と5年に下腹部痛で当院を受診. 平成11年11月7日夕方突然間欠的な右季肋部痛が出現, 次第に増強して当院内科を受診した. 右上腹部に強い圧痛を認め腸音は亢進していたが, 反跳痛や筋性防御はなく, 白血球数, CRP値も正常であった. 腹部X線写真, およびCTで肝前面の横隔膜下に鏡面像を伴った小腸の拡張を認めた. 踵吐も出現し, イレウスの診断音で内ヘルニアを疑い緊急手術を施行. 肝と腹壁の間にviolin string状の検状物を伴つた著明な線維性癖着を認め, その間に小腸が入り込んでいた. 小腸を引き出し線維性癒着を切除してイレウス解除できた, 子宮附属器に軽度の炎症像を認め, 術後の採血でクラミジアIgA抗体は1.38, TgG抗体は5.41と陽性でクラミジア感染による肝周囲炎が原因のイレウスと考え報告した.
著者
末永 昌宏 国場 良和 田中 穣 飛永 純一 山中 秀高 初野 剛 内村 正史
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.10, pp.1987-1991, 1996 (Released:2011-08-23)
参考文献数
4
被引用文献数
1

癌と免疫と地域医療を掲げ1985年に設立された当院は, 患者に正確な情報を伝え十分に理解を得た後に検査, 治療を行う-インフォームド・コンセント (IC)-が正しい医療のあり方とし, 87年IC委員会を発足し日本的土壌や当院にあったICを求めた. 医療は患者自身の意思, 選択が基本とし, 90年から入院患者と家族に医療に関しての考え方を調査した. 癌患者に対する手術, 化学療法などの治療法とその治療効果, 危険性, 副作用の説明に関して癌の告知は大きく関係するため家族や院内フォロー体制を整え, 患者の意思に従って告知を進めた. 消化器癌手術患者527名中82%が告知を希望し, 74%に告知した. 90年には52%の告知率が95年には88%となった. 生存者に対するアンケート調査では大部分の患者が当院での告知に対して満足の回答をした. 結語: 患者の意思を尊重し, フォロー体制を整えた上での癌の告知は日本的土壌の中でも進めうる.
著者
早川 弘輝 末永 昌宏 飛永 純一 武内 有城 内村 正史 野村 尚弘 飯田 俊雄
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1331-1335, 2001 (Released:2011-06-08)
参考文献数
20
被引用文献数
1

症例は41歳の女性. 手術歴はない. 平成3年と5年に下腹部痛で当院を受診. 平成11年11月7日夕方突然間欠的な右季肋部痛が出現, 次第に増強して当院内科を受診した. 右上腹部に強い圧痛を認め腸音は亢進していたが, 反跳痛や筋性防御はなく, 白血球数, CRP値も正常であった. 腹部X線写真, およびCTで肝前面の横隔膜下に鏡面像を伴った小腸の拡張を認めた. 嘔吐も出現し, イレウスの診断で経鼻胃管を挿入し内科入院したが, 鎮痛剤投与でも腹痛は続き外科紹介. 腹部は鼓張し腸音は金属音で内ヘルニアを疑い緊急手術を施行. 肝と腹壁の間にviolin string状の索状物を伴った著明な線維性癒着を認め, その間に小腸が入り込んでいた. 小腸を引き出し線維性癒着を切除してイレウス解除できた. 子宮附属器に軽度の炎症像を認め, 術後の採血でクラミジアIgA抗体は1.38, IgG抗体は5.41と陽性でクラミジア感染による肝周囲炎が原因のイレウスと考え報告した.
著者
内村 正史 多羅尾 信 宮本 康二 大久保 雄一郎 原 明
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.1685-1689, 2009 (Released:2009-12-04)
参考文献数
13

症例は19歳,男性.2007年9月18日午前1時ごろ心窩部痛出現,徐々に症状増強し近医救急車搬入.腹膜刺激症状及び腹部単純CTにて腹水貯留を認め,急性腹症の診断にて当院救急車搬入.収縮期血圧80,脈拍93,搬入時顔面蒼白.腹部造影CTにて短胃動脈破裂による腹腔内出血が疑われ,かつ出血性ショックと判断し緊急手術施行.腹腔内は大量の血液が貯留し,胃体部後壁,脾上極の短胃動脈に出血部を認め,同部を含めた胃部分切除をおこなった.術後1日目に人工呼吸器より離脱し徐々に回復.病理組織検査ではElastica van Gieson染色で小動脈中膜の異常断裂像を認めFibromuscular dysplasia(以下FMD)の所見と考えられた.まとめ:若年者に発症した短胃動脈瘤破裂は腹部内臓動脈瘤の中でも非常に稀であり若干の文献的考察を加え報告する.