著者
松宮 新吾 Shingo Matsumiya
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.225-245, 2010-03

中学校での英語教育を修了し、高校へ入学した直後の生徒を調査対象とした「早期英語教育が中等学校英語教育に及ぼす影響についての調査研究(第一次調査)」(2009)では、早期英語教育経験者と未経験者の二群間においては、言語スキルに係わる統計的な有意差が確認できなかった。 本調査研究(第二次調査)では、高校英語教育を一定期間経験したことにより、早期英語教育の経験の有無が二群間において質的に有意な変容を生じさせ得るかを検証し、早期英語教育の中期的な教育効果について論じる。 第二次調査で学習者要因と言語スキルに係わる比較分析を行った結果、早期英語教育経験者の表現活動に係わるスキルが有意に高くなっていること、また、言語能力肯定因子が英語学習成績に対しマイナスの要因として作用していることが確認できた。 これらの結果から、早期英語教育により培われた能力と中等学校英語教育との交互作用を高めるための方策を提言する。
著者
松宮 新吾
出版者
関西外国語大学
雑誌
研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.139-158, 2009-09

新学習指導要領により、小学校高学年における外国語(英語)が必修化され、週1コマ年間35時間の「英語活動」が5、6年生で実施される。 他方、中等教育機関では、教育特区等により早期英語教育を経験した学習者と未学習者とが混在した状況で英語教育が行われている。 本研究では、この移行期という特異な機会を捉え、早期英語学習者と未学習者との比較調査を行い、早期英語教育が学習者に及ぼす影響や効果を検証し、2011年から全面実施される小学校英語活動の教育効果について論じる。 学習者要因に係わる因子を分析した結果、早期英語学習者は、英語学習や異文化に対する好感的態度、統合的な目的意識等においてプラスの有意差を示した。 一方、言語スキルに係わる比較分析では二群間の統計的な有意差が確認できなかった。 これらの結果から、現行の「音声に慣れ親しむ」英語活動から、「文字認識」を含めた統合型英語活動についての提言を行う。