著者
松尾 晶穂 岩切 鮎佳 松下 範久 田端 雅進 福田 健二
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.254-261, 2022-10-01 (Released:2022-11-29)
参考文献数
34

ウルシの種子は,物理的休眠と生理的休眠を併せ持つ複合休眠状態にあると推測されている。ウルシ種子の発芽率を向上させるために,発芽促進に効果があると報告された方法を種子の物理的休眠と生理的休眠の打破に分けて評価した。ウルシ種子の物理的休眠の打破には,濃硫酸への60~120分の浸漬,または内果皮の一部除去が有効であった。濃硫酸に90分浸漬した後の種子では,種子の2カ所から吸水が始まることが観察された。濃硫酸浸漬後の種子に対する生理的休眠打破の方法としては,4~12週間の低温湿層処理が有効であった。しかし,内果皮を一部除去した後に低温湿層処理した種子は発芽しなかった。濃硫酸に90分浸漬させた後に8週間の低温湿層処理を行った種子の発芽率(73.2±2.7%)は,濃硫酸浸漬処理と低温湿層処理を単独で行った場合(それぞれ,0.8±1.0%,0.4±0.9%)や無処理の場合(0.0±0.0%)の発芽率よりも有意に高く,二つの処理を組み合わせた方法がウルシ種子の発芽促進に有効であることが確認された。