著者
磯部 由香 松屋 彩 平島 円
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.176, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 近年、血圧降下作用、精神安定作用などをもつ機能性成分としてγ-アミノ酪酸(GABA)が注目を浴びている。今回、本研究室にて滋賀県産こけらずしから分離したGABA生成能を有する乳酸菌<I>Lactobacilus buchneri</I>を用いて、豆乳を発酵させヨーグルト様食品を調製し、新規GABA含有食品の製造の検討を行った。<BR><B>【方法】</B><BR> 豆乳はスジャータ製の無調整豆乳を使用した。豆乳ヨーグルト中のGABA量はHPLCによって測定した。糖添加試料にはシュクロース10%を添加した。<BR><B>【結果】</B><BR> 豆乳に分離株を接種し、37℃で発酵させたところ、2日後に豆乳は凝固しヨーグルト状となった。発酵中のGABA量は5日目には発酵前の約4倍に当たる26mgにまで増加した。pHは、発酵初日の7.54から徐々に下がり、3日目にpH 5.32まで下がるが、4日目から上がりはじめ、5日目にはpH6.04となった。pHが5.5付近になる2日目以降でGABA量が大幅に増加した。一方,糖を添加すると発酵5日目までGABA量に変化はなかった.無添加試料のpH は発酵初日から徐々に低下するが、3日目のpH5.32でpHの低下が終了しているのに対し、添加試料は5日目まで低下し続け、このときのpHは3.76であった。このことから、糖添加による乳酸発酵の進行がpH低下を継続させ、乳酸菌のGABA生成を抑制したのではないかと考えられた。37℃と25℃で発酵させた試料について、GABA生成量とpHの変化の差はほとんどなかった。今回用いた分離株のグルタミン酸脱炭酸酵素活性はpH4.0において最大となり、pH5.5以上で大幅に酵素活性が低下した。この結果より、発酵2日目以降GABA量が大幅に増加するのはpHの低下によりグルタミン酸脱炭酸酵素活性が高くなることが要因であると思われる。