著者
平島 円 高橋 亮 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.54, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 澱粉製品に酢などの酸を添加すると,澱粉の加水分解が起こり,安定した粘度やゲル強度を得ることはむずかしくなる。そのため,耐酸性澱粉の開発が盛んである。しかし,酸が澱粉の特性に及ぼす影響は澱粉濃度や酸強度により異なると考えられる。そこで本研究では,澱粉濃度を変えて試料を調製し,澱粉の糊化および老化に及ぼす酸の影響について検討した。【方法】 澱粉にはコーンスターチ(三和澱粉工業_(株)_)を用い,その濃度は3.0および20wt%とし,澱粉糊または澱粉ゲルを調製した。酸にはクエン酸(和光純薬工業_(株)_)など有機酸6種類を用い,pHを2.4~6.0に調整した。DSC測定,固有粘度測定,粘度測定,破断測定,離水測定により澱粉の糊化および老化特性について検討した。【結果】 酸を澱粉に添加しても糊化温度および糊化エンタルピーは酸無添加の試料と大きな差はなく,この範囲のpHでは,酸は澱粉の糊化に影響しないことがわかった。これはいずれの澱粉濃度においても同様であった。しかし,加熱後冷却した3.0wt%の澱粉糊の粘度は酸加水分解の影響を強く受け,著しく低下した。一方,冷却した20.0wt%の酸添加澱粉ゲルでは著しいゲル強度の低下はみられなかった。逆に低pH(3.0)に調製した澱粉ゲルの初期弾性率の値は大きくなった。これは酸加水分解によりアミロース鎖やアミロペクチン鎖の長さが短くなるが,その数が増えるために強いネットワーク構造を形成したためと考えられる。また,酸を添加しても澱粉糊および澱粉ゲルの老化の進行具合にも影響はなかった。とくに,低pHの澱粉糊では多くのアミロース鎖とアミロペクチン鎖によるネットワーク構造が瞬時に形成されるため,保存期間中の離水はほとんど起こらなかった。
著者
平島 円 高橋 亮 西成 勝好
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

pHを高くし,アルカリ性に調整したコーンスターチ,タピオカ澱粉,ジャガイモ澱粉の糊化および老化特性について検討した。高pHでの澱粉の糊化は,pHにより同様の傾向を示した。いずれの澱粉においてもpH11付近では糊化が起こりにくいため,澱粉糊液の粘度は低下した。一方,pH12を超えると糊化が起こりやすくなるため,糊液の粘度は上昇した。しかし,pH13付近では糊液の粘度は著しく低下した。これはアミロース鎖やアミロペクチン鎖の分解が原因だと考えられる。コーンスターチとジャガイモ澱粉糊液の保存に伴う離水量はpHが高くなるほど少なく,高pHほど老化の進行がゆるやかになるとわかった。
著者
平島 円 高橋 亮 西成 勝好
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.231-239, 2019-08-05 (Released:2019-08-21)
参考文献数
42
被引用文献数
1

15 wt%のコーンスターチゲル(澱粉乾燥重量で13.0 wt%)の力学特性に及ぼすショ糖添加効果について,DSC測定およびゲルの一軸圧縮測定により検討した。0~50 wt%のショ糖を,コーンスターチ分散液の加熱前または加熱中に添加した。ショ糖を澱粉に添加すると,澱粉の糊化温度は高温側へ移行し,糊化エンタルピーが高くなり,糊化は起こりにくくなった。しかし,ショ糖添加コーンスターチゲルは,コントロールと比べて破断するために大きな力を要し,また,大きな力をかけても壊れずに変形し,しなやかだった。この効果はショ糖を澱粉の加熱前に添加したほうが顕著だった。 また,ショ糖を添加したコーンスターチゲルを保存すると,コントロールと比べて力学特性の保存に伴う変化量および変化速度が大きかった。しかし,20 wt%を超えるショ糖を加熱前に添加した場合には,保存に伴う力学特性の変化量が小さく,老化の進行度合がゆるやかだった。また,ショ糖を澱粉の加熱中に添加したほうが,保存に伴う変化量および変化速度は小さかった。
著者
堀 光代 平島 円 磯部 由香 長野 宏子
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 = Bulletin of Gifu City Women's College (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.55-59, 2010

A survey was conducted among 534 college freshmen (2008-2009, age:18-20) to investigate effects of cooking practices in home economics classes at junior high school and high school on students' cooking skills. With increasing the number of times they have experienced cooking practices, the number of students, who liked cooking and had a specialty dish, increased. Students with experiences in cooking have acquired cooking skills compared with students without experiences in cooking at junior high and high schools. We found that cooking practices at schools were quite effective on learning cooking skills for students, especially for students, who did not cook home.
著者
平島 円 奥野 美咲 髙橋 亮 磯部 由香 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.108, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】pHが13を越える強アルカリ性では,加熱せずに澱粉の糊化(アルカリ糊化)が起こる。しかし,こんにゃくや中華麺などの食品のpHはアルカリ糊化を起こすほど高くない。そこで本研究では,食品で扱われるアルカリ性のpHの範囲を考慮して糊化させた澱粉の老化に及ぼすpHの影響について検討した。【方法】澱粉にはタピオカ澱粉(松谷ゆり8,松谷化学工業(株))およびコーンスターチ(コーンスターチY,三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は3.0,4.0および20wt%とした。また,澱粉の糊化はNa塩の影響を受けることから,アルカリの影響についてのみ検討できるよう,Sorensen緩衝液を用いてNa濃度を一定とし,pHを8.8–13.0に調整した。アルカリ無添加の澱粉をコントロール(約pH 6.5)とした。糊化させた試料を5oCで0-45日間保存した後,DSC測定,透過度測定と離水測定を用いて老化過程について検討した。【結果】タピオカ澱粉は老化しにくい澱粉のため,コンロトールを含め高pHに調整した試料すべてにおいて,本研究で用いた保存期間内では老化の進行はほとんどみられなかった。一方,コーンスターチにおいては,pHが高くなるほど,保存に伴うDSC測定から求めた老化率の変化は小さかった。また,澱粉糊液の透明度と離水率もpHが高いほど変化は少なく,pHを高くすると老化の進行がゆるやかになるとわかった。特に,食品で扱われるよりも高い12.6を超えるpHでは,澱粉糊液の透明度はほとんど変わらず,離水も起こらなかった。以上の結果より,食品にみられるアルカリ性の程度(pH12以下)では澱粉の老化は進行するが,コントロールよりも老化の進行はゆるやかになるとわかった。また,非常に高いpH(pH13程度)では,老化の進行が非常にゆるやかになるとわかった。
著者
堀 光代 平島 円 磯部 由香 長野 宏子
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.55-59, 2010

A survey was conducted among 534 college freshmen (2008-2009, age:18-20) to investigate effects of cooking practices in home economics classes at junior high school and high school on students' cooking skills. With increasing the number of times they have experienced cooking practices, the number of students, who liked cooking and had a specialty dish, increased. Students with experiences in cooking have acquired cooking skills compared with students without experiences in cooking at junior high and high schools. We found that cooking practices at schools were quite effective on learning cooking skills for students, especially for students, who did not cook home.
著者
前田 紀夫 磯部 由香 平島 円 吉本 敏子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.56, 2011

<B>目的:</B>現在実践されている中学校の調理実習では、習得すべき技能・技術が明確に位置づけられておらず、献立構成や指導方法において個々の生徒の技能・技術の習得という視点が欠けている(河村、埼玉大学紀要、2009)。本研究では調理実習を通して身につけるべき力を「1人で調理できる技能・技術」であると定義し、生徒の個々の技能・技術の定着に主眼を置いた授業展開を提案することを目的とした。これまでに調理に必要な技能・技術を盛り込んだ献立3種(A:鰯のかば焼き・青菜のお浸し、B:ホワイトシチュー・ブラマンジェ、C:スパゲッティミートソース・トマトサラダ)と、新しい調理実習の指導方法として、「1限2品3まわり調理法」(3人1組になり、1限で2品の料理を2人が1品ずつ調理し、1人が観察者となって2人をサポートする方法)を報告した。本報では前回の報告で提案した献立と指導方法を用い、授業を実践することにより調理技能・技術習得に対する1人で調理することの効果について検討した。<BR><B>方法:</B>三重県内のA中学校の1年生(全3クラス)を対象に、2010年の4月~10月にかけて3つの献立を用いて調理実習を行った。1人で調理することの効果を比較するため、「1限2品3まわり調理法」だけでなく「1限1品調理法」(班で役割を分担して1限で1品を作るという方法)と「2限2品調理法」(班で役割を分担して2限で2品を作るという方法)を加え、各クラス異なる指導方法で調理実習を行った。各クラスの人数は24~25名であった。効果を検討するため、小学校での調理操作の経験等を問う事前アンケートを最初の授業に行った。また調理実習実施の前後には、リンゴの皮むきを実技テストとして行い廃棄率を計算した。さらに学期末には、筆記テストや事後アンケートを行った。有意差検定にはt検定やχ&sup2;検定を用いた。<BR><B>結果:</B>本報では2010年の1学期に行った献立Aおよび献立Bの調理実習実施前後での指導方法による調理技能・技術習得の差について検討した。事前アンケートにより生徒の調理技能・技術について調べたところ、22%の生徒が小学校で「調理実習において習得すべき技能・技術」の経験がないとわかった。調理実習前の調理経験にはいずれのクラスにおいても差がなかった。実技テストでは廃棄率の変化により検討したが、「1限2品3まわり調理法」を行ったクラスにおいて調理実習前後で廃棄率が下がっており、包丁の技能・技術の向上がわずかに見られた(<I>p</I> < 0.1)。事後アンケートにおいて「1限2品3まわり調理法」を用いたクラスは「1限1品調理法」や「2限2品調理法」を用いたクラスよりも調理操作の自信度の高いことがわかった(<I>p</I> < 0.05)。また、調理実習でとりあげた献立を家で作ってみたいと答えた生徒の割合は「1限2品3まわり調理法」が最も多かった。筆記テストでは、「ホワイトシチューの材料の切り方で正しい組み合わせを選びなさい」という設問に対して「1限2品3まわり調理法」の生徒は「1限1品調理法」や「2限2品調理法」より正解率が高かった(<I>p</I> < 0.05)。献立においては煮込み料理である「ホワイトシチュー」は時間がかかるため、1限の調理実習には適しておらず、2限の調理実習に相応しいことがわかった。また、「1限2品3まわり調理法」は「2限2品調理法」や「1限1品調理法」よりも多くの授業時数を要した。今後は、献立ごとに「2限2品調理法」や「1限1品調理法」を取り入れつつも、1人で調理する場面をできる限り増やす工夫が必要である。また、各献立においても1人で調理させることで習得させたい技能・技術に焦点を当て、実技テスト等も行うことで、個々の調理技能・技術習得や向上につなげていくことが課題である。
著者
平島 円 奥野 美咲 高橋 亮 磯部 由香 西成 勝好
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.50, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】澱粉のpHを13よりも高くすると,加熱せずに糊化(アルカリ糊化)が起こることはよく知られている。しかし,こんにゃくや中華麺などの食品に含まれるアルカリ性物質の濃度はアルカリ糊化を起こすほど高くない。そこで本研究では,食品中でみられる高pHの範囲内で澱粉の糊化および澱粉糊液の粘度に及ぼすpHの影響について検討した。【方法】澱粉にはタピオカ澱粉(松谷ゆり8,松谷化学工業(株))およびコーンスターチ(コーンスターチY,三和澱粉工業(株))を用い,その濃度は3.0,4.0および20wt%とした。また,澱粉の糊化はNa塩の影響を受けることから,アルカリの影響についてのみ検討できるよう,Sørensen緩衝液を用いてNa濃度を一定とし,pHを8.8–13.0に調整した。アルカリ無添加の澱粉をコントロール(pH 6.5付近)とした。20wt%の澱粉を用いてDSC測定を,また,3.0wt%および4.0wt%の澱粉を用いて粘度測定,顕微鏡観察,透過度測定を行い,澱粉の糊化および澱粉糊液の特性について検討した。【結果】pHを8.8–12程度まで高くすると,タピオカ澱粉およびコーンスターチの糊化温度およびエンタルピーは,コントロールよりもわずかに高かった。すなわち,食品で扱われる高pHの範囲内では,いずれの澱粉も糊化は起こりにくくなるとわかった。その影響を受けて,pHを11程度まで高くしたタピオカ澱粉およびコーンスターチ糊液の粘度はコントロールよりも低かった。しかし,pHを12よりも高くすると,糊化温度とエンタルピーはコントロールよりも低く,常温で澱粉粒子内の結晶構造が壊れるとわかった。したがって,pHを12よりも高くすると,澱粉の糊化は起こりやすくなり,澱粉粒子からのアミロースやアミロペクチンの溶出量が多く,糊液の粘度と透過度は高くなるとわかった。  以上の結果より,食品にみられるアルカリ性の程度(pH12以下)では澱粉の糊化が起こりにくくなるとわかった。
著者
磯部 由香 田中 里奈 平島 円 ISOBE Yuka TANAKA Rina HIRASHIMA Madoka
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.143-148, 2017-03-31

学校現場で行われている食育に関する様々な取り組みの中で、毎日繰り返し行われる「給食の時間」での指導は、極めて重要な役割を担っている。そこで、学校現場での給食指導の実態の把握を目的に調査を行った。その結果、給食指導における一番の課題は偏食に関する指導であることが明らかになった。偏食の課題は多様なため、指導方法の一般化が困難であり、給食指導マニュアルへの記載もほとんどなかった。アンケート調査および文献から偏食指導の事例を収集したところ、その手法は様々であった。今後は、教員個人の経験や能力に左右されず、すべての教員が効果的な偏食指導を行うため、様々な事例の蓄積とデータの共有が重要になると考えられる。
著者
磯部 由香 松屋 彩 平島 円
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.176, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 近年、血圧降下作用、精神安定作用などをもつ機能性成分としてγ-アミノ酪酸(GABA)が注目を浴びている。今回、本研究室にて滋賀県産こけらずしから分離したGABA生成能を有する乳酸菌<I>Lactobacilus buchneri</I>を用いて、豆乳を発酵させヨーグルト様食品を調製し、新規GABA含有食品の製造の検討を行った。<BR><B>【方法】</B><BR> 豆乳はスジャータ製の無調整豆乳を使用した。豆乳ヨーグルト中のGABA量はHPLCによって測定した。糖添加試料にはシュクロース10%を添加した。<BR><B>【結果】</B><BR> 豆乳に分離株を接種し、37℃で発酵させたところ、2日後に豆乳は凝固しヨーグルト状となった。発酵中のGABA量は5日目には発酵前の約4倍に当たる26mgにまで増加した。pHは、発酵初日の7.54から徐々に下がり、3日目にpH 5.32まで下がるが、4日目から上がりはじめ、5日目にはpH6.04となった。pHが5.5付近になる2日目以降でGABA量が大幅に増加した。一方,糖を添加すると発酵5日目までGABA量に変化はなかった.無添加試料のpH は発酵初日から徐々に低下するが、3日目のpH5.32でpHの低下が終了しているのに対し、添加試料は5日目まで低下し続け、このときのpHは3.76であった。このことから、糖添加による乳酸発酵の進行がpH低下を継続させ、乳酸菌のGABA生成を抑制したのではないかと考えられた。37℃と25℃で発酵させた試料について、GABA生成量とpHの変化の差はほとんどなかった。今回用いた分離株のグルタミン酸脱炭酸酵素活性はpH4.0において最大となり、pH5.5以上で大幅に酵素活性が低下した。この結果より、発酵2日目以降GABA量が大幅に増加するのはpHの低下によりグルタミン酸脱炭酸酵素活性が高くなることが要因であると思われる。
著者
平島 円 Hirashima Madoka
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.47-51, 2007-04-01

平成18年度日本調理科学会奨励賞受賞記念論文
著者
磯部 由香 平島 円 堀 光代 長野 宏子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】調理の重要な操作として「切り方」が挙げられる。本研究では,大学の調理実習で「切り方」の扱うための知見を得ることを目的とし,大学生と専門学校新入生の「切り方」の知識とその操作を行う自信度について分析し,学生の調理技術について検討した。 【方法】2010~2013年に大学・短大・専門学校に入学した学生1,149名に対し,20種類の「切り方」の知識とその自信度についてアンケート調査した。それぞれの項目について「できる」「ほぼできる」「少しできる」「たぶんできる」「できない」「知らない」から選択回答させた。その結果から20種類の切り方をクラスター分析により分類した。 【結果】学生が「知っている」切り方は「リンゴの皮むき」「みじん切り」「ジャガイモの皮むき」の順で多かった。しかし,学生が「できる」と回答した,すなわち自信度の高い切り方は「輪切り」「みじん切り」「いちょう切り」の順だった。「皮むき」については自信度が低かった。学生の自信度により切り方を分類したところ,自信度の高い切り方が7種類,個人差の大きい切り方5種類,自信度の低い切り方8種類と3つに分類された。自信度の高い切り方は高等学校までの教科書に多く記載されている切り方で,自信度の低い切り方は教科書にほとんど記載されていなかった。したがって,学生の調理技術を高めるためには経験することが重要であり,大学の授業で扱う必要があるとわかった。また,大学で調理実習を行う予定の学生と行わない学生に分けて切り方を自信度別に分類したが,調理実習を行う学生のほうが自信度の高い切り方が少なかった。実習を行う予定の学生のほうが調理の難しさを理解しているのではないかと推察された。