著者
松山 郁夫 中島 範子
雑誌
九州生活福祉支援研究会研究論文集 (ISSN:24323004)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.45-53, 2017-01-31

本研究では、重度知的障害のある幼児の表象能力が運動を中心とする自由遊びにどのように影響しているのかを検討した。太田ステージによる対象児の表象能力の測定結果、および学生トレーナーの観察記録から、運動を中心とする自由遊びの場における遊びの様子との関連を検討した結果、対象児はその表象能力に応じた自由遊びをしていること、および表象力を把握して発達課題を明確にすると発達を促進するための支援を考案できること等が考察された。
著者
松山 郁夫
出版者
佐賀大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究により、①自閉症児者の家族は、自閉症があると社会適応が困難で支援体制が不十分と捉えていること、②障害者支援施設の生活支援員は、自閉症児者の状態に応じた支援が必要と認識していること、③発達障害者支援センターの相談支援者は、自閉症児者の状況把握の困難さ、障害の特性、適応行為の困難さを問題視していること、④地域の支援者は、自閉症児者に対する自立生活と余暇生活に対する支援を重視していること、以上が明らかになった。これらのことは、青年期・成人期の自閉症者に対する地域包括支援を行う上で重視すべき視点と考察した。
著者
松山 郁夫
出版者
佐賀大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

質問紙調査により、特別養護老人ホームの介護職員における認知症高齢者のコミュニケーション等の状態に対する認識を検討した。独自の質問項目からなる質問紙による調査の結果、346人の有効回答について俳徊の有無別に実施した因子分析の結果、「身体」「不適応」「コミュニケーション」「表現」の4因子から構成され、4因子各々の項目は同一であった。また、因子スコアを使用して各因子間の相関係数を算出すると各因子間において相関が認められた。このため、俳徊の有無に関わらず、介護職員は認知症高齢者の状態を「身体」「不適応」「コミュニケーション」「表現」の視点から捉えていると考察した。また、昨年度に引き続き、太田ステージの評価方法であるLDT-R(言語解読能力テスト改訂版)を用いて、89人の認知症高齢者の表象能力を段階別に分類できるのかを検討した。認知症高齢者の表象能力は、LDT-Rによって認知発達の低い順から段階別に分類できたため、太田ステージによる評価は認知症高齢者の表象能力を段階別に示していると推察した。認知症高齢者の表象能力を評価できれば、理解できるコミュニケーション方法を見出すことが可能になり、援助者との間にコミュニケーションが成立し、認知症高齢者の安定した生活につながると考えた。さらに、認知症の進行で表象能力や言語能力が低下し、物事への興味・関心が薄れることも考慮して、表象能力の段階が低いものには視覚的手がかりがあるパズル、高いものにはカルタを使ったレクリエーションを行った。各々集中して一定時間取り組むことができ、介護職員や利用者とのコミュニケーションをとることが増えたため、意欲的な生活につながっていると推察した。