著者
小泉 茉由 松島 悦子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.192, 2016 (Released:2016-08-04)

【目的】おいしさは、食物や食べる人、環境などの要因で形成される主観的なものである。食物からの情報は味覚や視覚、嗅覚などで知覚され、色はおいしさの評価を左右する重要な要因である。先行研究によると、青や紫など寒色の皿は食欲を減退させると指摘されているが、藍色の皿は古くから一般的に使われてきた。そこで本研究では青い皿に着目し、その色調の違いがおいしさの印象にどのように影響を与えるかを明らかにした。  【方法】A大学の女子学生と教職員62人を対象として、明度と彩度の異なる4種類の青い皿に煮魚やハンバーグ、サラダ、そうめんなど8種類の料理を盛り付けた画像を作成し、印象評価を行った。評価法は、SD法に基づき、おいしさにかかわる形容詞対7項目に対する5段階評価である。事前に質問紙調査を行って、画像に用いる皿の形や料理を選定した。 【結果】「おいしそう」という評価はサバの味噌煮などの茶系の料理で低く、同じ料理でも皿の明度・彩度の違いによって評価は異なった。これは、皿の色と料理の色との対比という視覚現象によるものと考える。また、温かい料理でも「冷たそう」と評価され、青い皿は料理を冷たく見せる効果が確認された。以上より、皿の青という色相のみならず、明度や彩度も料理のおいしさの印象に影響を与えることが明らかとなった。また、学生と教職員では、明るさや華やかさの項目で評価に有意差が認められ、好まれる明度・彩度は年齢により異なることが示唆された。
著者
松島 悦子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.743-752, 2007 (Released:2010-07-29)
参考文献数
19
被引用文献数
10

本研究の目的は、母親と父親の調理に対する態度が、家族の共食の雰囲気や子どもの調理態度にどのような影響を与えるかを明らかにすることである。東京圏に住む中学生を対象としたアンケート調査結果より、712人を対象として分析した。主な結果は次のようである。(1)「母親の調理態度」だけでなく「父親の調理態度」が積極的なほど、子どもは「共食の雰囲気」を楽しいと感じていた。女子は「母親の調理態度」の影響を強く受け、男子は母親と同じくらいの強さで「父親の調理態度」の影響を受けていた。しかし、親の調理態度は、共食の頻度には影響を与えなかった。(2)「母親の調理態度」とともに「父親の調理態度」の積極性も、「子どもの調理態度」にプラスの影響を与えることが明らかとなった。女子では母親の影響が強く、男子では父親の影響が強い。さらに、「共食の雰囲気」のよさは、「子どもの調理態度」を積極的にした。(3)「母親の調理頻度」が高いほど、「共食の雰囲気」にマイナスの影響があった。母親に食事作りの役割が集中し固定化することは、共食時の楽しい雰囲気を阻害する可能性がある。