著者
甲野 雄次 新井 啓五 泉対 博 松川 俊一 糸原 重美
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.117-125, 1986-02-15
被引用文献数
1

羊を用いて牛白血病ウイルス (BLV) の感染防御実験を実施した。Triton X-100により不活化した100倍濃縮BLV培養液をフロインド完全アジュバントとともに8頭の羊に2週間隔で3回筋肉内接種した。最終免疫から2週後, すなわちgp抗体価が1:32〜1:256に達した時に, 4頭の免疫羊に50μlのBLV感染羊血液を皮内接種したが感染は成立しなかった。この4頭を含めた8頭の免疫羊の抗体価が1:1〜1:8に低下した時, 同一方法で再び攻撃接種を行った。その結果, すべての羊は抗体価の著明な上昇を示し, 同時にBLVも分離された。BLV感染羊の血清から分離した種々の量の免疫グロブリンを, 健康羊に腹腔内接種した後攻撃接種を行った結果, 1:64の抗体価を持った個体では感染防御が成立した。実験に用いたすべての羊につき感染防御の成立と液性抗体価の関係を調べた結果, 1:64以上の抗体価を持つすべての羊および1:32の抗体価を持つ羊の半数で感染防御が成立したが, 1:16以下の抗体価を持つ個体では1頭が感染防御を示したにすぎなかった。
著者
天野 実 森 英昭 松川 俊一 前田 潤平 宮田 昭海 林田 政義 入江 準二 冨岡 勉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.2452-2456, 1991-09-01
被引用文献数
5

膵外に発育した非機能性膵島腫瘍の1例を経験した.症例は56歳男性で,定期原爆検診で左上腹部腫瘤を指摘され,著者らの病院に入院した.膵内分泌ホルモン過剰分泌による症状は認められなかった.腫瘤は膵尾部より膵外に発育しており,膵の一部を含めて腫瘤を摘出した.大きさは13.6×11.8×9.4cm,900gで,病理組織診断は疑悪性の非機能性膵島腫瘍であった.術後3年半後の現在,再発の所見もみられず健在であるが,なお経過観察中である.