著者
北島 知夫 赤司 有史 山口 泉 北島 正親 大久保 仁 井上 啓爾 小原 則博 前田 潤平
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.223-228, 2009 (Released:2009-06-25)
参考文献数
20
被引用文献数
4

胆嚢捻転症の1例を経験した.胆嚢捻転症は,特異的な症状に乏しく比較的希な疾患であるが,画像診断の進歩により術前診断例も増えてきている.一方で,捻転により血行障害を来し,壊死性変化が急速に進むこともあり治療は緊急を要する.症例は高齢の女性で,急性胆嚢炎症状で発症し,手術時の所見で胆嚢捻転症と診断した.360°の捻転を呈する完全型の胆嚢捻転症で壊疽性胆嚢炎に陥っていた.胆嚢捻転症においては,高齢の痩せた女性に多いなどの特徴的な疾患背景や画像所見上,著明な胆嚢腫大に胆嚢管の先細り様の途絶や渦巻き像の描出などがないかを念頭におき診療にあたることが重要であると考えられた.また,胆嚢捻転症の根本は遊走胆嚢であることから,治療に際しては胆嚢穿刺は控え,緊急での手術,特に腹腔鏡下胆嚢摘出術の良い適応になると考えられた.
著者
天野 実 森 英昭 松川 俊一 前田 潤平 宮田 昭海 林田 政義 入江 準二 冨岡 勉
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.2452-2456, 1991-09-01
被引用文献数
5

膵外に発育した非機能性膵島腫瘍の1例を経験した.症例は56歳男性で,定期原爆検診で左上腹部腫瘤を指摘され,著者らの病院に入院した.膵内分泌ホルモン過剰分泌による症状は認められなかった.腫瘤は膵尾部より膵外に発育しており,膵の一部を含めて腫瘤を摘出した.大きさは13.6×11.8×9.4cm,900gで,病理組織診断は疑悪性の非機能性膵島腫瘍であった.術後3年半後の現在,再発の所見もみられず健在であるが,なお経過観察中である.