著者
加藤 信一 高崎 金久 斎藤 裕 松木 敏彦 西山 享 行者 明彦
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究は、代数群、リー代数またはそれに関連する対称空間、概均質ベクトル空間やヘッケ環等の上で定義される様々な特殊関数を主に表現論の立場から研究したものであり、整数論、数理物理学等と関連した多くの成果が得られた。加藤はヘッケ環の表現を調べ、その「双対」がどの様に与えられるかを決定した。また、数理物理学にあらわれるR行列の新しい例をヘッケ環を用いて与え、これを使って可積分系のq類似である量子化されたクニズニク=ザモロヂコフ方程式を考察、この方程式とマクドナルド差分作用素の関係を明らかにした。斎藤は対称行列のなす概均質ベクトル空間の数論的研究を行い、そのゼータ関数を具体的に決定した。そしてそれらのジーゲル保型形式の研究への応用等を論じた。行者は概均質ベクトル空間の研究を表現論、D加群の理論と関連して研究した。特に一般化されたヴァーマ加群の既約性と概均質ベクトル空間のb関数の関係を調べ、代数群、リー代数の無限次元表現論の研究において概均質ベクトル空間の理論が有効に適用できることを示した。松木は表現の記述に必要な、代数群の旗多様対の対称空間に関連する軌道分解について研究し、また球部分群についても考察した。西山はリー超代数のユニタリー表現論を研究した。特にハウによる双対対の理論の超代数版を用いて、各種の古典的リー超代数の既約ユニタリー表現をフォック空間上に実現して、その性質を調べた。高崎は数理物理学にあらわれる微分方程式、非線型可積分系を研究した。特にそれら方程式、可積分系の対称性を考察の対象として、体積保存微分同型群、無限次元リー代数等との関わりを調べた。