著者
松本 肇 Matsumoto Hajime
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.167-180(1, 2002-10-30

宋の王安石の「明妃曲」は、王昭君に対する従来の見方を塗り替え、大きな反響を呼んだ。それは、宋詩の理知的な傾向を示すものでもあった。宋詩に見られる傾向のいくつかは、すでに中唐詩の中に胚胎している。唐詩から宋詩 ...
著者
松本 肇
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.66(115)-108(73), 1993-08-31
著者
松本 肇
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、孟郊と賈島を例に、唐代の「悲愁の文学」の実態を明らかにした。研究成果は以下の通りである。1、孟郊の文学(1)孟郊は、賢者を処罰する詩を書いている。それは自己の正しさを証明する逆説的な方法であり、孟郊の自虐的な態度を表わしている。(2)孟郊は、困窮を詠じる詩を書いている。そこには、悲愁を楽しむ態度が見られる。悲愁を快楽にまで高めたのが、孟郊の功績である。(3)孟郊の文学は、悪意の文学という性質を持っている。孟郊は、幻想の中でも死を求めた。(4)孟郊は、詩作によって反世界を創造した。それは、天に対する反逆行為である。反逆者には代償が求められる。孟郊が詩という牢獄に自己を閉じこめたのは、自己を処罰したのである。2、賈島の文学(1)賈島の詩には、たとえくじけても望みを捨てない、不屈の精神が表われている。(2)賈島は、廃墟の美を詠じた詩を書いている。中唐期には、盛唐期には見られない新しい美意識が生まれた。廃墟の美を詠じるのも、そのような美意識の反映である。(3)賈島には、病気を詠じた詩がある。病気は、中唐期の知識人のシンボルである。このような文化現象の背景には、「休息」への願望があった。(4)賈島の詩には、微少な世界を詠じるものがある。それは、杜甫の影響を受けたのである。杜甫は、中唐文学の先駆者である。3、孟郊と賈島杜甫以後、詩を作ることに価値が認められるようになり、詩人として生きることが、知識人の目標となった。孟郊と賈島は、このような時代に生まれ、詩人としての人生を全うした。宋の蘇軾は、孟郊と賈島の文学を「郊寒島痩」と批評した。それは、彼らを非難したのではなく、彼らが世界を驚かす言葉の創造者であることを賛美したのである。

1 0 0 0 OA 韓柳友情論

著者
松本 肇
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.112(115)-83(144), 1984-12