著者
山口 光 松沢 卓生
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1_86-1_89, 2022-03-31 (Released:2022-03-19)
参考文献数
3

岩手県二戸市を中心とする浄法寺(じょうぼうじ)塗には、古くからの民藝品である「ひあげ」と呼ばれる片口の酒器が存在していた。祝宴に欠かせない地域のシンボルでもあり、少しずつ形を変えながら現代まで伝えられている。市場でも一定の人気がある商品ではあったが、木地の生産性が低いという理由で欠品となることが多くなっていた。また、収納性などの課題も見られるようになっていたことから、2016年4月から2020年10月にかけて、リ・デザインとアイテム追加を行なった。2018年3月には「角杯」(かくはい)という商品名で、株式会社浄法寺漆産業(以下、浄法寺漆産業)から発売した。この「角杯」は片口の内部に杯を2個収められる形状で、二人で酒を酌み交わせるセットとしてデザインされたものである。発売後も改良を続け、2020年4月には新色によるアイテムを追加し、同年10月に2020年度グッドデザイン賞を受賞した。