著者
三木 一郎 松瀬 貢規 久保田 寿夫
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

電気自動車(EV)用40kW、12-8極のスイッチトリラクタンスモータ(SRM)の設計開発を行い、始動および定常駆動の位置センサレス制御アルゴリズムの開発・実用化を目指し、新しい駆動系電気自動車の完成を最終目的として研究を行った。市販の車をベースに電気自動車を開発するために、従来のエンジンを取り外し、代わりにSRMがそのまま設置できるようにモータ外形寸法をまず決定し、次にバッテリーで供給可能な電圧から必要なトルクが得られる電流を求め、基本的なモータ仕様を割り出した。これらの基本設計を基にモータの製作をメーカーに依頼し、同時にSRM用の特殊なインバータの製作を別メーカーに依頼した。これと並行して、位置センサレス制御アルゴリズムの開発を進め、次の事を明らかにした。1.始動、および低速から高速まで安定して運転が可能な位置センサレス制御手法を開発できた。ただし、始動法に関しては既に類似の手怯が発表されていることが明らかになった。2.負荷が印加され、電流が流れると磁気飽和の影響によりセンサレス制御の精度が悪化するが、これに対処する方法を開発した。3.速度推定は、低速になるとその精度が悪化していたが、これを改善する手法を見出すことが出来た。以上が、センサレス手法に関する研究成果である。EVを構成する基本的な要素、すなわちSRM、駆動用インバータおよひバッテリーによる模擬実験用システムを構成し、実験を行った。負荷にはPMモータを使用した。各指令速度に対する電流、電圧波形の測定、負荷試験などを実施した。これらの結果より、効率については、モータ単体て80-90%、駆動回路まで含めると65-75%程度であることがわかった。さらに、SRMの大きな欠点である振動・騒音についても追加て研究を進め、これらを軽減できる一方法を明らかに出来た。今後はこれをさらに進め、より実用性の高いSRM搭載電気自動車の開発を進める予定である。