- 著者
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堀口 桂香
中山 貴史
松田 准一
- 出版者
- 一般社団法人日本地球化学会
- 雑誌
- 日本地球化学会年会要旨集 2010年度日本地球化学会第57回年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.10, 2010 (Released:2010-08-30)
本研究は,2008年岩手・宮城内陸地震震源域周辺にて,地震の前後におけるヘリウム同位体比の時空間変化を追跡したものである.地震発生1週間後から半年毎に計4回,温泉水と温泉ガスを採集し,溶存ガス中のヘリウム同位体比を測定した.その結果と2006年7月に同じ地点でサンプルを採集・測定した結果とを比較すると,地震直後には5カ所の温泉において10-85%の増加,2カ所において11-35%の減少が観測され,1年後には地震発生前の値に戻っていく傾向がみられた.これらの結果は,同地域の震源域の地下に地震波の低速度域が認められるという地球物理学研究と一致しており,地球化学・地球物理学双方の研究結果は整合的であり,深部から上昇してきたマントル起源の流体が地震発生に関与した可能性を示唆している.