著者
折橋 裕二 新正 裕尚 ナランホ ホセ 元木 昭寿 安間 了
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.157, 2010

南米大陸西縁に発達するチリ・トレンチには約15Ma以降,断続的にチリ中央海嶺が沈み込んでおり,現在,タイタオ半島沖の南緯46°付近にはT-T-R三重点を形成している.したがって, SVZの最南端のハドソン火山からアンデス弧沿いの南緯34°まで発達するSVZ火山列の化学組成の側方変化を把握することで,定常的な沈み込み帯から中央海嶺沈み込みの開始に至るマントルウェッジ内の温度構造,スラブから脱水作用とマントルウェッジ内に循環するH2Oの変化を把握することができる.本講演ではSVZ全域の第四紀火山から採取した玄武岩質岩について,主・微量成分(ホウ素濃度を含む)を測定し,この結果から最南端のハドソン火山から最北端のサンホセ火山(南緯34°)に至るSVZ火山の化学組成の側方変化を 議論する.
著者
盛合 秀 折橋 裕二 佐々木 実 沼田 翔伍 浅沼 尚 平田 岳史 淺原 良浩
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.168, 2021 (Released:2021-12-15)

本研究では檜川層の模式地である檜川流域およびその周辺域と西岸域(仏ヶ浦を含む福浦〜牛滝・野平の地域)に分布する珪長質火山岩および火砕岩について地質調査を行い,檜川層層序の再検討を行った.また,新たに縫道石山の石英斑岩についてU-Pb年代測定を行った.野平盆地は地形的に二重の盆状構造を呈しており,負の重力異常分布域(広島ほか,1989)からも示唆されることから,約 4 Maに浅海域で形成された「仏ヶ浦カルデラ」(新称)と約 2 Maに陸域で形成された野平カルデラ(根本・箕浦,1999)が重複していると考えられる.今回新たに得られた縫道石山・石英斑岩のジルコンU-Pb年代は4.7 Maであり,これら石英斑岩は仏ヶ浦カルデラ形成前のリング・ダイクと推定される.
著者
阿部 なつ江 金松 敏也 末次 大輔 山崎 俊嗣 岩森 光 安間 了 平野 直人 折橋 裕二 原田 尚美 富士原 敏也
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.189-189, 2010

海洋研究開発機構・海洋研究船「みらい」によるMR08-06航海(通称:SORA 2009: South Pacific Ocean Research Activity 2009)は、南太平洋および沈み込み帯における地質学・地球物理学的研究ならびにチリ沖における古海洋環境変動復元研究を行う事を目的とし、平成21年1月15日(木)関根浜出港 ~ 平成21年4月8日(水)バルパライソ入港までの計84日間、3レグに渡り実施され,レグ1は、1月15日関根浜出港~3月14日バルパライソ入港までの59日間実施された。そのレグ1における航海実施概要と,太平洋横断中の海底地形・重力の測定結果を発表する。
著者
鈴木 勝彦 賞雅 朝子 土屋 卓久 深海 雄介 折橋 裕二 新城 竜一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2021

<p>182Wは消滅核種182Hfのβ壊変によって生成される。ハワイ,サモアなどの海洋島玄武岩には現在のマントル値に対して低い182W同位体を持つ。本研究では、地球初期のコア分離において、第一原理自由エネルギー計算により、コア-マントル境界P-T条件においても、Wは液体金属相に強く分配され、Hfは溶融ケイ酸塩に留まることが明らかになった。このようなHf-Wの分別により、コアは182Hf /182W比が低くなり,その結果コアは182Wの低い特性を持つことになる。本研究ではさらに,エチオピア玄武岩のW同位体比組成を分析した。その結果,エチオピア玄武岩は,現在の平均的なマントルに比べてわずかに負のμ182Wを示した。この結果と上記の第一原理計算によるコアの低い182W同位体を考え合わせると,ハワイ,サモアの玄武岩やエチオピア玄武岩は182W同位体値の低いコア成分を含んでいる可能性が高いことを示唆する。</p>
著者
町田 嗣樹 折橋 裕二 マルコ マニアーニ 根尾 夏紀 サマンサ アンスワース 谷水 雅治 玉木 賢策
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.318, 2011

中央インド洋海嶺の南緯20°-18°付近は、典型的な中央海嶺-ホットスポット相互作用の場所である。しかし、南緯20°から15°にかけての中央海嶺より採取された玄武岩の化学組成の変化は、レユニオンマントルプルームによる上部マントルの汚染とは関連しないことが判明した。つまり、上部マントル中のリサイクルされた過去のプレート物質が、ホットスポットからの熱によって大量に融解している場所であると解釈される。
著者
鈴木 勝彦 賞雅 朝子 深海 雄介 飯塚 毅 折橋 裕二 新城 竜一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p><sup>182</sup>Hfは比較的短い半減期890万年で<sup>182</sup>Wにベータ壊変する。Hfは親石元素、Wは親鉄元素であるために、マントルとコアの間で分別が起き,マントルは高いHf/W比,コアは低いHf/W比を持つと考えられる。地球の初期,<sup>182</sup>Hfが消滅する前にコアが分離すれば,Hf/Wの高い始原マントルは高い<sup>182</sup>W/<sup>184</sup>W比を,Hf/W比の低いコアは低い<sup>182</sup>W/<sup>184</sup>W比を持っていることになる。本研究では,東アフリカAfarプルームに由来するエチオピアの玄武岩とアデン湾のMORBに適用した結果,いくつかの試料で,繰り返しの誤差の範囲を超えて負異常が得られた。コアの物質を含んでいる可能性が考えられるか,少なくとも地球ができて間もない頃の化学分別の痕跡を含んでいると考えられる。</p>
著者
新正 裕尚 古川 邦之 折橋 裕二 外西 奈津美 和田 穣隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.7, pp.533-538, 2018-07-15 (Released:2018-08-18)
参考文献数
13
被引用文献数
6

岐阜県南部に分布する可児層群の最下部を占める蜂屋層は第一瀬戸内累層群東部で最も古い地層であり,主に非海成の火砕岩類からなる.蜂屋層最下部の栃洞溶結凝灰岩部層の溶結凝灰岩から分離したジルコンのレーザーアブレーションICP-MSによるU-Pb年代測定を行ったところ,238U-206Pb年代の加重平均として22.38±0.17Ma(2σ)が得られた.この年代は蜂屋層の堆積開始時期を拘束する.分析を行った溶結凝灰岩試料の蛍光X線分析による全岩主成分・微量元素組成を併せて報告する.
著者
市原 美恵 Claudia ADAM Valérie VIDAL Pablo GROSSE 三部 賢治 折橋 裕二
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.126, no.2, pp.181-193, 2017-04-25 (Released:2017-06-12)
参考文献数
58
被引用文献数
2 4

Anomalous arc volcanoes tend to exist where a linear topographic feature (fracture zone, line of seamounts, or ridge) on the oceanic plate is subducting. “Dots-and-lines tectonics” are proposed for clarifying this tendency and understanding the mechanisms that generate it. State-of-the-art studies on along-arc variations of volcanism around the Pacific ring of fire and possible effects of inhomogeneities on the subducting oceanic plate are reviewed. Mechanisms generating the clustered distribution of active volcanoes in North-eastern Japan and the extraordinary volcanism at Mount Fuji are reconsidered from a “dots-and-lines” tectonics point of view. Although there still remain many unsolved problems, “dots-and-lines” tectonics could offer a unified explanation of along-arc variations in volcanism, combining processes in mid-ocean ridges, hot spots, and subduction zones.
著者
工藤 康晴 松本 拓也 松田 准一 折橋 裕二
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.159, 2004 (Released:2007-02-23)

近年、ロイヒ海山は、最も新しいホットスポット火山として注目されている。また、それを構成する玄武岩中のヘリウム同位体組成は非常に始源的な値を反映していることが知られている。今回、我々は、単一玄武岩中にどのような希ガス同位体的不均質が存在するのか、あるいは存在しないのかということを調べる為に、一つのロイヒ海山産玄武岩全岩に含まれるガラスとカンラン石の希ガス同位体測定を行った。
著者
石原 舜三 折橋 裕二
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.149-152, 2013 (Released:2016-01-11)
参考文献数
14

U-Pb age of zircon separated from the Ashio rhyolitic welded tuff was determined, and whole-rock K-Ar ages with different alteration degrees were also dated. The U-Pb age of zircon in the least altered tuff was determined to have 10.25±0.16 Ma, and its whole-rock K-Ar age was dated at 11.3±0.4 Ma. This Miocene age seems to be the youngest among the major rhyolitic activities in the Oya-Ashio mine region; the youngest one brought up the largest amount of copper production in Japan toward the Ashio mine.
著者
高地 吉一 折橋 裕二 小原 北士 藤本 辰弥 春田 泰宏 山本 鋼志
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.19-35, 2015-03-25 (Released:2015-03-30)
参考文献数
44
被引用文献数
1

We carried out an optimization of analytical parameters for U–Pb zircon dating by laser ablation inductively coupled plasma mass spectrometry (LA-ICP-MS) using a NIST SRM 610 glass. As a result, we obtained the following optimum analytical parameters: laser energy: 11.7 J/cm2, repetition rate: 10 Hz, pre-ablation time: 8 sec, integration time: 10 sec and crater diameter: 25 μm. The average 206Pb/238U ratio of the NIST SRM 610 glass normalized by a 91500 zircon standard under the conditions mentioned above was 0.2236±0.0044 (1σ, N : 87). The median value of this result matches with that of the literature value within range of the analytical precision. Furthermore, the 206Pb/238U weighted mean ages of the Plešovice, OD-3 and Fish Canyon Tuff zircons, having the proposed 206Pb/238U ages of 335.48±0.95 Ma (95% conf., N : 38, MSWD : 1.1), 33.25±0.38 Ma (95% conf., N : 23, MSWD : 1.5), 28.56±0.49 Ma (95% conf., N : 34, MSWD : 5.1), respectively, were measured, normalized by the NIST SRM 610 glass standard. The results were consistent within 1% error range of the recommended values. These results suggest that the matrix effect can be reduced to less than analytical precision on materials with different physical properties under well-optimized analytical conditions.
著者
岩野 英樹 折橋 裕二 檀原 徹 平田 岳史 小笠原 正継
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.6, pp.365-375, 2012-06-15 (Released:2012-11-07)
参考文献数
44
被引用文献数
15 88

同一ジルコン粒子を用いたフィッション・トラック(FT)法とU-Pb法によるダブル年代測定した年代値の信頼性を評価した.試料にはFT年代が33 Ma,自発FT密度が106〜107/cm2の島根県川本花崗閃緑岩三原岩体のジルコン粒子(OD-3)を用いた.U-Pb年代分析は,Nd-YAG(λ=213 nm)レーザーアブレーションシステムを搭載したICP質量分析法を用い,ジルコンを47%HF溶液による洗浄あるいはKOH-NaOH共融液によるFTエッチングを施した後に行った.その結果,33 MaのコンコーディアU-Pb年代が得られた.これは化学処理されたジルコンには顕著なPb損失は生じず,そして同一ジルコン粒子のFTおよびU-Pbダブル年代測定が実行可能であることを示す.今回使用した川本花崗閃緑岩三原岩体のジルコン粒子(OD-3)は若いジルコンU-Pb年代測定の標準試料になりうる試料である.
著者
新正 裕尚 折橋 裕二 安田 敦
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

スラブ融解メルトとマントルかんらん岩の反応について理解を深めることを目的として,スラブ融解に関連すると考えられる高温の沈み込みがあった場所の火成岩の研究と,高温高圧実験による研究を行なった.そして以下のような成果があった.(1)マントル最上部に相当する1GPaの条件下でカンラン石とデイサイト質メルトとの反応実験を行なった.そして実験生成物の微量元素組成をレーザーアブレーションICP質量分析計(L、A・ICP・MS)を用いて測定した.50μm径を超える斜方輝石および単斜輝石を成長させることに成功し,斜方輝石および単斜輝石とデイサイト質メルト間の分配係数をおよそ25元素について決定した.斜方輝石については,軽希土類をはじめとする液相濃集元素の珪長質メルトに対する分配係数が苦鉄質メルトより大きいという従来指摘されていた組成依存性に反して,苦鉄質メルトと差がない分配係数を得た.(2)高温の四国海盆の沈み込みに関連した,西南日本弧の海溝寄り地域の中新世火成岩について研究を行なった.ザクロ石が安定な高圧下での融解により形成された珪長質火成岩が広域的に分布することを見出すとともに,海溝に近接した場所での大量のS-type花こう岩質マグマの成因について議論した.(3)南米アンデス弧の中でも,Chile Riseの沈み込む場所に近接する,Southern Volcanic Zoneの第四紀フロント火山の全岩化学組成の島弧伸長方向の変化傾向について研究を行い,火山弧下のスラブ年齢が古くなるにつれて,沈み込む堆積物由来成分のマグマソースへの寄与が大きくなることを明らかにした.(4)ジルコンをはじめとする鉱物のレーザーアブレーションICP質量分析法による微小領域分析について鉱物間の分配係数の決定や年代測定法について成果があった.
著者
新正 裕尚 和田 穣隆 折橋 裕二 角井 朝昭 中井 俊一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.689-696, 2003-12-15
被引用文献数
6 10

奈良県吉野町樫尾の吉野川に沿って分布する玄武岩・流紋岩複合岩脈から約1m径の花こう岩質包有物を見出した.この包有物の起源を探るため全岩化学分析とレーザーアブレーションICP質量分析法によるジルコンのU-Pb年代測定を行った.その結果全岩化学組成は外帯花こう岩類の一員である大峯花こう岩質岩と類似すること,最も若い年代を示すジルコン群がら求めた花こう岩質岩の固結年代は13.2±1.0Maであることが判った.これらから中央構造線南方に中新世の花こう岩質岩の潜頭岩体が存在すると推定される.