- 著者
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角皆 静男
- 出版者
- 一般社団法人日本地球化学会
- 雑誌
- 日本地球化学会年会要旨集 2010年度日本地球化学会第57回年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.180, 2010 (Released:2010-08-30)
私が大学に入った1957 年に,Keeling はIGY 国際地球観測年の一環としてハワイのマウナロアで大気中CO2 濃度の連続観測を開始した.この年の暮に315 ppm(季節変動を補正)だったその濃度は,2010 年には390 ppm に達した.その増加の主因は人間活動であるが,人間が大気に放出したCO2 量はその2 倍以上だった.今後どうなり,何を引き起こすかについては,大気のCO2 の測定だけではわからない.流体である海洋を中心とする物質循環は,ホリスティックであり,動く海水の中での化学物質の特性と太陽光を受けて始まる生物の食物網がこれに深く関与し,大気圏との交換,河川からの陸源物質,死の世界ではない海底との間のやりとりなどに支配されている.従って,その部分部分のどこか1 カ所を深く追究しても,真の姿を描き出すことは難しい.私は,複数の研究を同時に進めながら,それに迫ることを試みてきた.得られた結果のいくつかを物語風に解説する.