- 著者
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安田 みどり
松田 智佳
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
- 巻号頁・発行日
- pp.107, 2007 (Released:2008-02-26)
目的 緑茶に含まれるカテキンは強い抗酸化活性を示し、様々な疾病の予防などに効果があることで知られている。しかしながら、茶の飲用は食事や薬からの鉄などの吸収を妨げるといわれている。これは、カテキンと金属イオンとが錯体を形成するためであると考えられている。本研究では、電気化学的手法を用いて、カテキンと金属イオンとの反応のメカニズムを解明することを目的とした。
方法 サイクリックボルタンメトリー(CV)および電気化学検出器(ECD、750mV)を装備したHPLCを用いて、カテキンの酸化電位および酸化ピーク面積値に与える金属イオン(Fe2+、Fe3+、Cu2+)の影響を調べた。カテキンは、緑茶に含まれる主要なもの((-)-エピカテキン(EC)、(-)-エピガロカテキン(EGC)、(-)-エピカテキンガレート(ECG)、(-)-エピガロカテキンガレート(EGCG))を使用した。
結果 CVの結果から、金属イオンは、カテキンの酸化電位に影響を与えることが明らかになった。特に、pH7以上において、EGCGの酸化ピークはFe2+やCu2+の添加によってほとんど消滅した。また、HPLCの結果、ECは金属イオンの影響をほとんど受けなかったが、他のカテキン、特にEGCGは金属イオンの添加により著しい濃度の減少が認められた。これは、pH7以上で起こりやすく、金属イオンの濃度に依存することがわかった。以上のことにより、EC以外のカテキンは、酸化活性部位において金属イオンと錯体を形成するか、もしくは金属イオンによりカテキンが酸化分解されることが示唆された。