著者
安田 みどり 扇 萌華 児島 百合子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.74, 2018 (Released:2018-07-28)

【目的】キク科のキクイモ(学名:Helianthus tuberosus)は、でんぷんをほとんど含まず、水溶性多糖類であるイヌリンを多く含むのが特徴である。近年、イヌリンの血糖上昇抑制作用などの機能性が注目されている。本研究では、キクイモ中のイヌリンが調理や加工中でどの程度安定であるかを調べるため、加熱温度やpHの影響について調べた。【方法】キクイモ中のイヌリンの分析は、フルクタン測定キット(日本バイオコン株式会社)を用いて行った。凍結乾燥したキクイモを60~200℃にて0.5、1、2時間加熱後のイヌリン含量を調べた。さらに、イヌリンを蒸留水へ入れた時の加熱温度、加熱時間、pHにおけるイヌリンの残存率を調べた。【結果】キクイモ乾燥粉末を加熱した時のイヌリンの安定性を調べた結果、130℃までは安定であったが、160℃では約20%減少し、200℃では1時間の加熱でイヌリンがほとんどなくなった。これは、加熱によるイヌリンの分解と糖のカラメル化反応によるものだと考えられる。また、水溶液中のイヌリンは、25℃ではいずれのpHでもイヌリンは比較的安定であったが、50℃以上では強酸性でイヌリン含量が低下した。これは、酸性で加熱することにより、イヌリンが加水分解したためと考えられる。
著者
中多 啓子 末次 恵美 安田 みどり 熊川 景子 尊田 民喜 福元 裕二 長谷川 節
出版者
西九州大学
雑誌
永原学園西九州大学・佐賀短期大学紀要 (ISSN:03875326)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-9, 2006-03-01
被引用文献数
1

ジャーファメンターで培養されたクロレラブルガリスCK-5株の熱水抽出物(CVE)からの抗酸化物質の分離・精製を試みた。このCVEと溶媒石油ベンジンーベンゼン(9:1、v/v)を分液ロートに入れた。この水抽出液の下層の部分をU成分と名づけた。U成分をSephadexG-25のゲル濾過によって分離した。このフラクションをUVスペクトルの類似性と分子のサイズから分類した。分子量の大きい順に、U-a>U-b>U-c>U-d>U-eと表した。この5成分をTLCの第一鉄-チオシアン法による呈色による抗酸化活性を検出する試験、リノール酸の自動酸化及び紫外線照射によるリノール酸の酸化を第一鉄-チオシアン法によって抗酸化活性を測定する試験を行った。この3つの実験法から、U-b成分がリノール酸に対して5成分中最も抗酸化活性があることがわかった。さらに、U-b成分をSephadexG-10のゲル濾過によってさらに分離・精製を行い、(U-b)a成分を得た。この(U-b)a成分とフィチン酸を電気伝導度検出器を備えたHPLCで測定し、その結果からこの(U-b)a成分は、フィチン酸様の化合物であることが示唆された。(U-b)a成分と、フィターゼによって加水分解されたフィチン酸の混合物を展開溶媒n-プロパノールーアンモニアー水(5:4:1、v/v)を用いたTLC分析を行った。このTLC分析から、抗酸化活性のある(U-b)a成分は、2成分を除いて、6成分がイノシトールリン酸(InsP_1〜InsP_6)類であることが示唆された。
著者
安田 みどり 扇 萌華 斎木 まど香
出版者
西九州大学
雑誌
西九州大学健康福祉学部紀要 = Journal of Health and Nutrition Science in Nishikyushu University (ISSN:24348767)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-7, 2019-11-15

キクイモに含まれる水溶性多糖類のイヌリンに及ぼす加熱やpHの影響について調べた。キクイ モ乾燥粉末中のイヌリンは、1 60℃以上の焙煎によって減少することが分かった。これは、加熱によるイヌリンの分解とカラメル化反応によるものと考えられる。また、イヌリンは、強酸性では酸分解のために著しく減少することが明らかとなり、これは加熱温度が高く、加熱時間が長いほどより顕著であった。生キクイモからイヌリンの水への溶出は、40℃、1時間の抽出では約30%、95℃では10分でも約半分のイヌリンが水の方へ溶出することが分かった。以上のことから、キクイモ中のイヌリンは、高温での加熱、強酸性、長時間の水さらしにより減少することが分かった。
著者
安田 みどり 米山 明男 竹谷 敏 田端 正明 川﨑 美紅 江原 德美 廣沢 一郎 妹尾 与志木
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00053, (Released:2023-01-06)

本研究では, 機械そうめんの食味の特徴をミクロ構造から解明することを目的とした. 食味検査により, そうめんのコシ (弾力) は, 機械そうめん (神埼そうめん, MS1) <手延べそうめん (揖保乃糸, TS) <機械そうめん (ナンバーワン, MS2) の順となった. 一方, 破断強度の測定によって求めたコシは, MS1<MS2<TSの順に強くなった. 放射光CTスキャン測定により, TS (乾麺) は中心部に帯状の大きな空隙が存在しており, 茹でた後も一部帯状の空隙が残っていることがわかった. この外側と中心部の内部構造の違いが, 破断強度のコシが強い要因であると考えられる. 一方, 機械そうめんは小さな空隙が均等に分散した内部構造であった. これが, 破断強度のコシが低い値となった原因であることがわかった. しかし, 食味検査でMS2がTSよりもコシが高いという結果であったことから, 茹で操作における吸水速度も食感に影響したと考えられる.
著者
安田 みどり 松田 智佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.107, 2007 (Released:2008-02-26)

目的 緑茶に含まれるカテキンは強い抗酸化活性を示し、様々な疾病の予防などに効果があることで知られている。しかしながら、茶の飲用は食事や薬からの鉄などの吸収を妨げるといわれている。これは、カテキンと金属イオンとが錯体を形成するためであると考えられている。本研究では、電気化学的手法を用いて、カテキンと金属イオンとの反応のメカニズムを解明することを目的とした。 方法 サイクリックボルタンメトリー(CV)および電気化学検出器(ECD、750mV)を装備したHPLCを用いて、カテキンの酸化電位および酸化ピーク面積値に与える金属イオン(Fe2+、Fe3+、Cu2+)の影響を調べた。カテキンは、緑茶に含まれる主要なもの((-)-エピカテキン(EC)、(-)-エピガロカテキン(EGC)、(-)-エピカテキンガレート(ECG)、(-)-エピガロカテキンガレート(EGCG))を使用した。 結果 CVの結果から、金属イオンは、カテキンの酸化電位に影響を与えることが明らかになった。特に、pH7以上において、EGCGの酸化ピークはFe2+やCu2+の添加によってほとんど消滅した。また、HPLCの結果、ECは金属イオンの影響をほとんど受けなかったが、他のカテキン、特にEGCGは金属イオンの添加により著しい濃度の減少が認められた。これは、pH7以上で起こりやすく、金属イオンの濃度に依存することがわかった。以上のことにより、EC以外のカテキンは、酸化活性部位において金属イオンと錯体を形成するか、もしくは金属イオンによりカテキンが酸化分解されることが示唆された。
著者
安田 みどり 久壽米木 綾子 斎木 まど香 児島 百合子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<br><br>【目的】キクイモ(学名:<i>Helianthus tuberosus</i>)は、他のイモ類と異なり、デンプンをほとんど含まず、水溶性の多糖類であるイヌリンを多量に含有している。イヌリンは、難消化性でカロリーが低く、腸内細菌叢の改善、血糖値の上昇抑制等の機能性が明らかにされている。しかし、イヌリンは多糖類であるために分析が難しく、報告例も少ない。そこで、本研究では、佐賀県内で栽培されたキクイモに含まれるイヌリンの含有量を調べることを目的として、イヌリンの分析を試みた。<br><br>【方法】試料として、佐賀県で栽培されたキクイモ(10、12月採取)を凍結乾燥したものを用いた。イヌリンは、フルクタン測定キット(日本バイオコン株式会社)を用いて測定した。すなわち、フルクタン以外の糖質を酵素にて単糖に分解して糖アルコールとして除去し、残ったフルクタンをフルクタナーゼにて分解し、フルクトース量として測定した。<br><br>【結果】キクイモ中のイヌリンは、35~50 g/100g乾燥物(8~17 g/100g生)で、実と皮にあまり違いはみられなかった。赤色と白色の品種の違いについても有意差はみられなかった。しかし、同じ場所で10月と12月のキクイモと比較すると12月に採取した方が少なかった。土の中で貯蔵中にイヌリンから単糖や少糖へ分解が起こっていることも考えられることから、それらの分析結果についても合わせて報告する。
著者
大曲 希実 安田 みどり 日野 まど香 大渡 瞳
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.68, 2014 (Released:2014-07-10)

目的 一年草の水草であるヒシは、アジア地域に広く自生している。ヒシの実は、食用として食されるだけでなく、昔から婦人病などの民間薬や漢方薬としても用いられてきた。我々はヒシの実の外皮の有効利用を目的として、外皮に含まれるポリフェノール成分に注目し、その化学的特性や生理機能性について調べた。方法 乾燥、粉砕した佐賀県神埼市産のワビシ(Trapa japonica)の外皮を60%アセトンにて抽出し、カラムクロマトグラフィーにて分取し、ポリフェノール画分をさらにHPLCにより分取・精製を行った。得られたポリフェノールをLC/MSおよびNMRにて測定し、ポリフェノールを同定した。これらのポリフェノールについて、温度、pHに対する安定性を調べた。さらに、生理機能性として、抗酸化作用、糖質分解酵素の阻害作用について調べた。結果 ヒシ外皮のポリフェノールを分取・精製し、主要な3つのポリフェノールを得た。これらは、加水分解型のポリフェノールで、eugeniin、1,2,3,6-tetra-O-galloyl-β-D-glucopyranose、trapainと同定した。温度に対しては、trapainが熱に弱いことが明らかになったが、その他については熱に強いことが明らかになった。また、pHについては、pH8以上では、酸化されるため、不安定になることがわかった。さらに、3つのポリフェノールは、高い抗酸化性を有し、糖質分解酵素の阻害作用を示した。