著者
高橋 弘志 大町 美歩 松葉 育雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.614, pp.1-6, 2002-01-22

経済時系列の分布は一般的にガウス分布ではなくレヴィ分布に従うことが知られている.しかし, 実際にその分布がレヴィ分布に起因するような原理は発見されていない.ただ, 経済時系列の特徴である長期記憶性によってレヴィ分布が発生することは知られている.そこで一般化エントロピーの最大化原理を用いることで, レヴィ分布のスケーリング指数μとTsallisのq-エントロピーのパラメータであるqとの関係を導き出すことができると考える.その関係性を実データとして1991年から2000年までの日次日経平均株価を用いることでその妥当性について検証した.
著者
今野 良彦 森 康久仁 松葉 育雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.573, pp.21-26, 2007-02-26
参考文献数
5

本来時系列データからリアプノフ指数を推定する場合,大量のデータを必要とする.しかしながら常に十分な量のデータが得られるわけではない.そこで,著者らはブートストラップ法を用いて,少数時系列データからリアプノフ指数を精度よく推定する方法を提案している.ローレンツモデルなどのシミュレーションデータで実験を行った著者らの提案法は,時系列の自己相関が短くなければブートストラップ法を用いた提案手法の効果が得られることを示した.そこで本研究では,実際の時系列データである日次日経平均と日次TOPIXを用いた検証をする.実験結果より実際の時系列データでもある程度の自己相関があれば提案法の効果が得られた.また経験的であるものの,ブートストラップ長の適切な値の傾向を示すことができた.
著者
松葉 育雄
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
応用数理 (ISSN:24321982)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.192-208, 1995-09-18 (Released:2017-04-08)
参考文献数
22
被引用文献数
1

不規則に変動する成分をランダムノイズとする統計的手法に従う時系列データ処理法に対し,カオスの発見以来,確率的成分を有しない非線形ダイナミクスが内在するメカニズムのみから不規則な様相を見せることが明らかにされ,不規則データのモデル化に関して従来と異なるアプローチが要求されるようになってきた.実際,カオティックな時系列データに対して統計モデルよりも非線形なモデルを基礎にした決定論的な方式が優れていることが示されるようになってきた.本稿では,カオスモデルだけではなく実際的な例を通してニューラルネットワークを予測の道具に用いた非線形予測の可能性を議論する.