著者
西田 幸次 平林 哲雄 田中 健太郎 森田 秀幸 松葉 豪 金谷 利治
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.297-301, 2015-10-10 (Released:2015-10-10)
被引用文献数
4

Methylcellulose attains the water‐solubility by reducing the strong hydrogen‐bonding. The reduction of the hydrogen bonding is achieved by partially substituting hydrophobic methoxy group for hydroxy group in cellulose. However, the substitution gives double‐bladed property to the aqueous methylcellulose, namely, excessive substitution makes again methylcellulose insoluble in water. Therefore, the water‐solubility of methylcellulose is strongly affected by the degree of substitution and moreover the distribution of the substituents. In this study, however, for a commercially available methylcellulose we have modified the cloud point by the addition of various organic salts. Sodium styrene sulfonate (NaSS) showed a strong salting‐in effect, whereas the polymeric NaSS, i.e., sodium polystyrene sulfonate (NaPSS), showed oppositely a salting‐out effect.
著者
松葉 豪 辺見 幸大 辻 秀人 河井 貴彦 金谷 利治 豊原 清綱 遠藤 浩平
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
pp.2014-0039, (Released:2015-03-19)
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

溶融混練でブレンドさせたポリ(L-乳酸)(PLLA)とポリ(D-乳酸)(PDLA)試料のガラス状態から昇温時および溶融状態からの降温時の結晶化(ガラス結晶化・メルト結晶化)でのモルフォロジーの変化を追跡した.ガラス結晶化では,PLLA(PDLA)の単体からなるHomo晶とステレオコンプレックス結晶(Sc晶)が観測された.昇温に伴い,長周期は約20 nmから約63 nmとなり,コンホメーションが変化していた.Homo晶の融解後は, Sc晶の間にHomo晶の融解物が存在するため広がった密度ゆらぎ(63 nm)と,Sc晶の長周期(23 nm)の二つの相関が観測された.ミクロンよりも小さい微結晶は粗い界面をもつクラスターを形成した.一方,メルト結晶化では,降温に従ってSc晶のみが成長し,長周期の長さは, 70 nmから40 nmと減少していた.また,非常に界面のなめらかな微結晶が成長していた.
著者
金谷 利治 西田 幸次 松葉 豪
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

種々の高分子系について、その結晶化過程に生成する非平衡中間体の構造、生成過程、さらにはそれら中間体からの結晶化について、小角.広角X線散乱、小角.広角中性子散乱、光散乱等を用いて調べた。その結果、相互作用の強いポリアミドでの結晶化誘導期の構造形成にはメルトメモリー効果が大きく関与することを明らかにした。流動結晶化においてはシシケバブ前駆体が結晶を含むことをマイクロビームX線により始めて明らかにするとともに、シシケバブ生成に対する分子量効果を詳細に調べ、シシケバブ生成機構の詳細を示した。さらに、アイソタクチックポリプロピレンのメゾ相からの結晶化について、昇温速度を広い範囲で変化させることにより、巨大単結晶形成法を示した。これらは、非平衡中間体を経由する結晶化機構についての新たな知見をももたらすと同時に新たな高分子構造制御への道を開くものである。