著者
近藤 祐未 板垣 順平 渡邉 誠介
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.2_49-2_56, 2020-09-30 (Released:2020-10-05)
参考文献数
23

大学による地域連携活動は、いまや自明の理となっている。とりわけ、学生が主体となった活動は、自治体や企業も注目しその成果も期待されている。一方で、活動の主体となる学生にとっては成果だけでなく、自身にとっての経験や達成感、自信、スキルなど、活動を通して何を得られたか、が重要となる。しかし、地域連携活動に関する既往研究の多くは、活動終了時に実施される単発的な振り返りやアンケートをもとにその学習効果について議論されたものが多く、長期的な視点による地域連携活動の学習効果について分析・検討されたものはみられない。筆者自身が取り組んだ長岡造形大学大学院の「地域特別プロジェクト演習」では活動を進める時々に、辛いやしんどいといった意見が多くあったが、活動が終了してからしばらく経ってからの何気ない会話では、その印象や捉え方に変化がみられた。そこで本研究では、「地域特別プロジェクト演習」を研究対象として、実施者である学生の視点から活動の記憶や印象を手掛かりに、省察の変化の過程について検討し、その変化の要因を明らかにすることを目的とする。
著者
軍司 円 板垣 順平 砂野 唯
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.2_1-2_10, 2022-09-30 (Released:2022-10-01)
参考文献数
37

日本国内において、日本酒の消費量減少が危惧されるなかで、新潟県の中部に位置する長岡市では、日本酒を積極的に飲用する若者や潜在的に日本酒を飲用する若者が多く存在する。 本研究では、長岡市に住む20~30 代の若者を事例に日本酒に対する嗜好や趣向に関するアンケートや半構造的インタビューを実施し、それらの情報から、長岡市内の若者の日本酒への興味関心を促すラベルやパッケージのデザイン要素の抽出を試みた。 その結果、感覚的要素と形態的要素の二つがデザイン要素として提示された。前者は、日本酒の「同工異曲」な性質を直感的に理解・イメージできるような視認性の高さと、季節感や可愛さ、馴染みやすさなどの形容表現が挙げられた。後者は、一升瓶や四合瓶に加えて、一度で飲み切ることができる少量の酒瓶サイズを展開することなどが挙げられた。これら二つの要素を日本酒のラベルやパッケージに生かすことで若者の日本酒への興味関心や購買意欲を促すものとなり得ることが明らかになった。