著者
近藤 祐未 板垣 順平 渡邉 誠介
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.2_49-2_56, 2020-09-30 (Released:2020-10-05)
参考文献数
23

大学による地域連携活動は、いまや自明の理となっている。とりわけ、学生が主体となった活動は、自治体や企業も注目しその成果も期待されている。一方で、活動の主体となる学生にとっては成果だけでなく、自身にとっての経験や達成感、自信、スキルなど、活動を通して何を得られたか、が重要となる。しかし、地域連携活動に関する既往研究の多くは、活動終了時に実施される単発的な振り返りやアンケートをもとにその学習効果について議論されたものが多く、長期的な視点による地域連携活動の学習効果について分析・検討されたものはみられない。筆者自身が取り組んだ長岡造形大学大学院の「地域特別プロジェクト演習」では活動を進める時々に、辛いやしんどいといった意見が多くあったが、活動が終了してからしばらく経ってからの何気ない会話では、その印象や捉え方に変化がみられた。そこで本研究では、「地域特別プロジェクト演習」を研究対象として、実施者である学生の視点から活動の記憶や印象を手掛かりに、省察の変化の過程について検討し、その変化の要因を明らかにすることを目的とする。
著者
平井 邦彦 後藤 哲男 森田 守 渡邉 誠介 澤田 雅浩
出版者
長岡造形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本年度はこれまで新潟県南魚沼郡で行ってきたさまざまな調査研究の集大成として、より広範な施設に関するバリアフリー状況調査を実施するとともに、その簡便な改善策の実証的研究を当該地域において実施した。具体的には、バリアフリー状況調査で抽出した観光・レジャー施設を複数抽出し、その施設のより詳細な調査を実施するとともに、簡便な設備で状況が改善可能な場合にはそのような対策を施した。また実際に障害者や高齢者が訪問した場合の障害に対してのシミュレーションを実施した上で、南魚沼郡全域にわたる一日観光ルートを設定し、そのルートを利用した実地調査を行った。調査に際しては、抽出した施設からの協力を受けるとともに、塩沢町社会福祉協議会の支援を受け、実際に車椅子を利用されている方をモニターとして4名の方にご参加いただき、利用時の問題点や対策の有効性についてユーザー側からの情報を提供してもらうことができた。ハートビル法が成立したものの、一定規模以下の施設ではバリアフリー改修が不必要なことも多く、またそれらの施設はそのような設備改修の余裕を有していない場合が多いが、今回の調査で事前に行った対策は費用、手間両面からも大変扱いやすいレベルのものであり、その効果を実際に施設管理者が目にすることで、障害者受け入れの精神的障壁を取り除くことができるようになることも調査の中で明らかとなった。手近なところの工夫によって今後国内で増加する高齢者・障害者を積極的に受け入れることができるようになることが実証的に明らかにされるとともに、この知見を地域内で共有することでより広範かつ綿密な「もてなし」が実現する可能性が示唆されたといえる。