- 著者
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板谷 和彦
丹羽 清
- 出版者
- 研究・イノベーション学会
- 雑誌
- 研究技術計画 (ISSN:09147020)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.85-97, 2012-09-20
本論文では,発見を支援するマネジメントに関する新たな視点を導くことを目的として,発見のプロセスの理解に基づく現場主導型マネジメントを提示する。さらに,大手技術系企業の研究所において,4チームに対し,2ヵ月半にわたり非適用群を設定した実証実験として適用を行い,研究者の研究行動に与える効果を定性的方法により分析した。研究行動の事例は,適用群,非適用群によらず,「仮目標の設定」,「試行の場の設定」,「試行錯誤」の3つにカテゴリー化された。一方,適用群の事例では,発見志向の研究行動に多く適合する傾向にあり,相互に関係性を示す複数の発見志向の研究行動に適合する事例も見られた。現場主導型マネジメントの適用の効果は,高い自律性を有する施策によって,発見への探索の方法や経路の選択に関する制約や失敗に対する躊躇を抑制するとともに,偶然の結果に対する気付きや洞察,飛躍に結びつく視点の変化を導くことにあるとの考察を示した。