著者
板谷 謹悟
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.844-848, 2000-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

表面科学の研究は,これまで超高真空装置 (UHV) を用いるのが常識であり,清浄かつ原子スケールで規定された金属あるいは半導体表面の幾何学的構造,表面電子状態などの研究が行われてきた.しかし,電気化学走査型トンネル顕微鏡 (STM) の開発とそれを用いた実験法は,水溶液中でも原子的に規定された表面が存在することを実証し,しかも原子のスケールで直接観察できる非常に強力な手段となった.液体中では表面上でさまざまな物理,化学反応が起こる.これらの諸過程を個々の分子,原子レベルで解析可能となった.この画期的な装置と,それによって明らかにされた興味ある結果の数例を解説する.