著者
林 和哉 脇田 裕久
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.75-84, 2004-03-31

本研究は、動作前の自発的掛け声が局所および全身反応時間に及ぼす影響を観察し、自発的掛け声が神経・筋機能に与える影響について検討することを目的とした。局所反応動作におけるS反応動作およびF反応動作のEMG-RTは、absence試行に比較してpresence試行が有意に短縮した。IEMGについては、absence試行に比較してpresence試行が有意に増大した。全身反応時間については、EMG-RTは、absence試行に比較してpresence試行が有意に短縮した。EMD・動作時間・力積については、両条件間に有意な差が認められなかったが、平均発揮筋力はabsence試行に比較してpresence試行が有意に増大した値を示した。以上のことから、自発的掛け声は局所および全身の反応動作におけるEMG-RTを有意に短縮させるとともに、その後に続く筋力発揮にも作用をもつことが示唆され、このことについては自発的掛け声が網様体賦活系や大脳の運動準備電位の活動水準を上昇させる可能性のあることが考えられる。