著者
為永 辰郎
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.39-45, 1981

星食観測の新しい方法と予備的結果・問題点を報告する。高感度TVカメラによる望遠鏡像とデジタルタイムとJJY信号を同時に記録したビデオテ-プのスロー・ストップ画像解析により、一画面時間(約<special>1/60</special>秒)を分解能として食時刻を決定できることがわかった。今回のアルデバラン食(1980年9月2日)では、JJY信号とタイマーの同期不充分の為、食時刻決定精度は予備的に<special>1/20</special>秒であった。さらに星食進行状況のビデオによる再現は、天文教材として極めて効果的である事がわかった。
著者
小倉 義雄 中井 英幸 柳川 眞 川村 壽一 Ogura Yoshio Nakai Hideyuki Yanagawa Makoto Kawamura Juichi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.63-77, 1994-03-10

Urinary calculi, as biocrystals, are grouped into several types and named based on their chemical compositions and the mineralogical features. Among them, calcium that contained calculi showed maximum amount. Mineralogical study on calculi both of the calcium oxalate (partly contained uric acid) and magnesium ammonium phosphate have been described and some genetic process are also discussed. Calcium oxalate samples mainly composed of whewellite and amorphous-like substances, lacking in weddellite. Most of the samples can be divided into crust and based on their in ternal structure which is similar to that of marine manganese nodules. The core zone contains several concentric stripes of light and dark materials, showing so-called colloform and zonal structure. Spherulitic structure which is composed of aggregate of needle whewellite crystals were also observed at the boundary between core and crust. Magnesium ammonium phosphate calculi consists struvite and amorphous-like substances. In cross section, it showed banded structure which is composed of alternate zone of two materials. In both calculi, Ca, Mg, P, C and F were detected by EPMA method. Ca content in generally high with uniformly distribution, and some correlation between Ca and other elements such as Mg and P were observed, locally, in the calcium oxalate samples. In magnesium ammonium phosphate calculi, Mg and P were almost uniformly distributed with high concentration. All elements in calculies probably exist as state of very micro particles.生体結晶として、現在尿路結石にはその種類別にいろいろな構成成分、化学式、鉱物名が与えられている。これらの結石類ではカルシウム系成分が最も多く見出されている。本報文では蓚酸カルシウム(一部尿酸を含む)および燐酸マグネシウム・アンモニウム結石に関する鉱物学的性状を検討し、生成過程についても考察している。蓚酸カルシウム結石は非晶質様物質とwhewellite(1水化物)より構成され、weddellite(2水化物)は特定されない。多くは内部が、内核、外核、外殻部に区分される構造を示し、核部の周りにコロフォーム構造、累帯構造、球顆状構造等が顕著である。燐酸マグネシウム・アンモニウム結石は非晶質様物質とstruviteから構成され、内部にはこれらの互層による多重の帯状構造がみられる。EPMAによる元素分析で、両結石ともCa,Mg,P,O,C,Fが検出される。蓚酸カルシウム結石では試料粒全般にCaが高濃度で均一に分布し、部分的にCaと他のP,Mg,Fが相関関係を示す。また燐酸マグネシウムではMg,P全体に均一に高濃度で分布する。これら結石を構成するすべての元素は極めて微細な粒子として含まれている。
著者
大川 博徳 Ohkawa Hironori
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.79-87, 1999-03-01

著者らが開発したガスクロマトグラフ法を用いて、昭和57(1982)年から平成9(1997)年の16年間に、95種類(104試料)の野菜中の水溶性シュウ酸及び総シュウ酸の定量を行った。「ふだんそう」及び「つるな」には水溶性シュウ酸が、「おかひじき」及び「ふだんそう」には総シュウ酸が極めて高濃度に含まれていた。総シュウ酸に占める水溶性シュウ酸の割合の高い野菜は「生たけのこ」、「しょうが」、「ゆでたけのこ」及び「ルバーブ」であり、逆に低い野菜は「モロヘイヤ」であった。「生たけのこ」中の水溶性シュウ酸は、米糠を加えてゆでることにより半量近くに減少した。「ほうれんそう」もまた、ゆでることにより、その水溶性シュウ酸は半量以下にまで減少した。いわゆる「あく」のある山菜として知られる、「ぜんまい」、「ふきのとう」、「やまごぼう」及び「わらび」の両シュウ酸は何れも十数mg%と少なかった。「キャベツ」など9種類の野菜は水溶性シュウ酸及び不溶性シュウ酸共にゼロであった。@@@Determinations of soluble and total oxalic acids in 95 vegetables (104 samples) have been made over 16 years from 1982 to 1997 by the gas chromatographic method which had been established by the author and his colleagues. 'Chard' and 'New Zealand spinach' contained a very high quantity of soluble oxalic acid and 'Saltwort' and 'Chard' total oxalic acid, respectively. Vegetables with an extraordinarily high ratio of soluble to total oxalic acid included 'Raw and boiled bamboo shoots', 'Ginger' and 'Rhubarb', whereas the vegetable with the lowest ratio 'Jew's marrow'. As for 'Raw bamboo shoots', soluble oxalic acid content diminished almost by half when they were cooked in boiling water with rice bran added. Soluble oxalic acid in 'Raw spinach' also diminished to below half when cooked in boiling water. Oxalic acid contents were unexpectedly low in vegetables with lye, namely 'Royal fern', 'Flower-cruster', 'Yamagobō' and 'Bracken'. Nine vegetables including 'Cabbage' contained neither soluble nor insoluble oxalic acid.
著者
脇田 裕久 高木 英樹 Wakita Hirohisa Takagi Hideki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.81-88, 1992-02-28

本研究は、打突の機会の一つである出端小手を対象として、仕太刀の動作開始時間・動作時間、右上肢関節角度、竹刀角度、竹刀先端速度を指標とし、熟練者群と未熟練者群の相違点を検討した。その結果、熟練者群は、打太刀の振り上げ動作が開始される前に動作を起こし、打撃動作が小さく、振り下ろし速度が速いため、動作時間が短縮し、打太刀の出端を的確にとらえた打撃が可能である。一方、未熟練者群は、打太刀の動作開始と同時に動作を起こし、振り上げ動作が大きく、振り下ろし速度が遅いため、動作時間が延長し、打太刀の出端をとらえることが困難になることが明らかにされた。
著者
田口 正男 渡辺 守 Taguchi Masao Watanabe Mamoru
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.25-32, 1995-03-15

水田において、1985年9月と1987年10月にナツアカネのペアー形成と交尾、産卵の行動観察、1989年9月に胸部体温の測定を行なった。水田に飛来した雄は縄張り行動を示さず、雌を発見すると急速に接近して連結態となった。連結態が形成されると雄はただちに移精を行ない、その直後ペアーは交尾態となった。交尾は9時半から13時頃まで観察された(平均交尾時間、323.5±24.2秒)。産卵は交尾終了後、直ちに連結で飛翔したまま開始された(連結打空産卵:平均産卵時間、461.3±19.2秒)。産卵時間とその間に行なわれる雌の腹部の打空回数には正の相関があった。連結打空産卵中の平均胸部体温は、雄で33.9±0.2℃、雌で32.8±0.2℃となり、雄の方が有意に高かった。輻射温度と胸部体温と輻射温度の温度差との関係の回帰直線の傾きについては、連結打空産卵中の雄と雌との間に有意な差は認められなかったが、連結打空産卵中の雄と単独飛翔中の雄との間には有意な差が認められた。これらの結果より、連結打空産卵における雄の役割と連結産卵の意義を考察した。
著者
林 和哉 脇田 裕久
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.75-84, 2004-03-31

本研究は、動作前の自発的掛け声が局所および全身反応時間に及ぼす影響を観察し、自発的掛け声が神経・筋機能に与える影響について検討することを目的とした。局所反応動作におけるS反応動作およびF反応動作のEMG-RTは、absence試行に比較してpresence試行が有意に短縮した。IEMGについては、absence試行に比較してpresence試行が有意に増大した。全身反応時間については、EMG-RTは、absence試行に比較してpresence試行が有意に短縮した。EMD・動作時間・力積については、両条件間に有意な差が認められなかったが、平均発揮筋力はabsence試行に比較してpresence試行が有意に増大した値を示した。以上のことから、自発的掛け声は局所および全身の反応動作におけるEMG-RTを有意に短縮させるとともに、その後に続く筋力発揮にも作用をもつことが示唆され、このことについては自発的掛け声が網様体賦活系や大脳の運動準備電位の活動水準を上昇させる可能性のあることが考えられる。
著者
村岡 一幸 渡辺 守
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.37-44, 1996

シロチョウ類の資源植物となるイヌガラシの分布構造とその開花数を調査した。イヌガラシは全長707.1mの「塩の道」の両側に列状に分布していた。これらのイヌガラシについて、区画長を変化させMORISITAの<special>Iδ</special>指数によって分布構造を解析したところ、イヌガラシの分布はいくつかの集団をもつ集団分布であることが明らかになった。実際、イヌガラシは4つの大きな集団を形成して分布していた。イヌガラシは集団内で1か所2か所を中心に分布しており、集団内の開花・結実はほぼ同調していた。4つの集団のうち北側の2つは開花期間の中期の集団であり、南側の2つは開花期間の後期の集団であった。生育していたイヌガラシの中からランダムに17株を選び、花序あたりの開花数を連続6日間調査した。この結果花序あたりの平均開花数は1.2花であった。そこで、大きな4つの集団の内の1つの集団について、花序あたりの蕾数と花数、長角果数からこの集団の開花期間と日あたりの開花数を推定した。その結果この集団の開花期間は約2か月であり、そのうち開花数が300個以上の日は17日間続いたと推定できた。さらに、イヌガラシ1花が分泌する花蜜中の糖量を考慮すると、この間は約10mg以上の糖が訪花昆虫に供給されていたといえる。これは、モンシロチョウ約100頭分の一回の吸蜜量に相当した。これらの結果から、イヌガラシはシロチョウ類にとって持続的で豊富な蜜源になっていると思われる。
著者
東 敬義 渡辺 守
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.19-28, 1998
被引用文献数
1

亀山市郊外の典型的な里山の溜池に生息する蜻蛉目幼虫の分布を調査した。溜池は水田灌漑用として作られており、水田に面した側は堤防が築かれて開放的であったが、他は水際まで雑木林が迫り、樹木の枝が池の上を覆う閉鎖的な環境となっていた。年間を通して捕獲した蜻蛉目幼虫は、モノサシトンボなどの樹林性イトトンボ類やヤブヤンマ、コシアキトンボなど、薄暗い環境を好む種が大半を占めた。しかし、シオカラトンボやギンヤンマ、オニヤンマなどの開放的な環境を好む種も捕獲された。多様性指数を計算すると、溜池の中の閉鎖的な部分における蜻蛉目幼虫群集は年間を通じて安定していたが、開放的な部分の群集は変動していることがわかった。典型的な里山の溜池は、背後の雑木林と密接に結びついて生活する種と水田などの開放的な環境に生活する種という、生息環境の異なる蜻蛉目昆虫が同所的に利用しているといえた。
著者
大川 博徳
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.59-64, 1988

著者らが最近開発したガスクロマトグラフ法を用いて、いわゆる山菜を含む25品目の生野菜中の水溶性及び総シュウ酸の定量を行った。「つるな」には極めて高いシュウ酸が含まれており、次いで、「ルバーブ」、「みょうが」、「しょうが」、「つるむらさき」及び「しそ」が高いシュウ酸量を示した。シュウ酸含量は、いわゆる「あく」のある山菜として知られる「わらび」、「ぜんまい」及び「やまごぼう」では何れも十数mg%と少なく、「わさび」及び「つくし」ではごく僅かで数mg%であった。Soluble and total oxalic acids in 25 vegetables, including 'sansai' were determined by the gas chromatographic method which had been established by the author and colleagues. New Zealand spinach contained the highest quantity of oxalic acid. Oxalic acid contents were, higher in 'Rhubarb', 'Myōga', 'Ginger', 'Basella' and 'Perillas', lower in 'Pracken', 'Roral fern' and 'Yamagobō', and very low in 'Wasabi' and 'Field horsetail'.
著者
田中 啓勝 川口 元一
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.29-32, 1985

シースは無衝突、プリシースでは衝突効果があるという条件における実験結果から、無衝突シースの形成に必要な条件とされているBohm条件を満たさない場合があることが示される。Bohm条件の修正をもたらす原因として、シース端における電場の効果が検討され、また、プリシース領域における準中性からのわずかなずれの影響が述べられる。
著者
正田 良
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-8, 2003-03-01

VBAとは、Microsoft社の統合製品であるOfficeに含まれる諸ソフトウエアを利用者が統御するためのプログラミング言語で、初心者用プログラム言語Basicの流れをくむものである。この20年余りの間にパーソナル・コンピュータに関する状況は大きな変化かが見られた。それを歴史的に略述し、Cellsというプロパティーが言語の基礎部分の一部として位着付けられることを指摘し、その利用例を紹介する。
著者
脇田 裕久 八木 規夫 水谷 四郎 小林 寛道
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.141-148, 1985

The stretching effect on the repeated exertion of maximum hand grip strength were investigated when the wrist joint stretching was added in different muscle groups and/or different frequencies. The subjects were six healthy males aged 18-22 years. They were asked to exert their maximum hand grip strength for 6 seconds, 20 times with 1 minute intervals between each bout. Subjects performed 6 series of experiments in different interval conditions such as, Condition-A : hold resting during each enterval, B : add stretching of dorsi-flexion (7 sec×4 times), C : add stretching of palmar flexion (7 sec×4 times), D : add stretching both palmar and dorsi-flexions, alternately (7 sec×2 times each), E : hold resting until 10th trial, and then add stretching to 20th trial in the same way as in Condition-D during each interval, F : add stretching once every 5 intervals in the same way as in Condition-D. Following results were obtained. 1) No significant differences in average impulses (kg・sec) of 20 times in maximum hand grip strength were found among different conditions. 2) The greater impulses in 11-20th trials were observed in Condition-C and -D in comparison with Condition-A (p<0.05). 3) The impulses in Condition-D were greater than Condition-B in 16-20th trials (p>0.05). 4) The greater impulses were observed in 11-20th trials for Condition-D and -F in comparison with Condition-A (p<0.05). 5) The impulses in 11-15th trials were greater in Condition-F than Condition-E (p<0.05). Therefore, stretching of palmar flexion or, both palmar and dorsi-flexions are effective to prevent the decrease of hand grip strength. Stretching of every 5 trials of 20 maximum bouts is equally effective with that of every one trial.健康な男子大学生6名(18-22歳)を被検者とし、1分間の休息期をはさみながら最大努力で6秒間の握力発揮を20試行繰り返させ、手関節へのストレッチングが握力発揮にどう影響するかを、方法、時期、頻度を違えて実施した。各試行間の休息期には、毎回安静休息を保つ条件(A)、と静的ストレッチングを加える条件(B~F)があり、後者には毎回手関節の背屈方向のみ(B)、掌屈方向のみ(C)、背屈・掌屈双方(D)、第10試行まで安静休息、その後毎回背屈・掌屈双方(E)、第5、10、15試行後にのみ背屈・掌屈双方(F)の5条件とし、合計6条件を指示した。本実験結果は、次のようである。 1)各条件下における全試行の平均力積は、いずれの条件間にも有意な差が認められなかった。 2)第11-20試行では、条件C、Dが条件Aより有意に大きな力積を示した(P<0.05)。第16-20試行では、条件Dが条件Bに比較して有意に大きな力積を示した(P<0.05)。 3)第11-20試行では、条件D、Fが条件Aより有意に大きな力積を示した(P<0.05)。第11-15試行では、条件Fが条件Eに比較して有意に大きな力積を示した(P<0.05)。 以上の結果から、休息期に毎回掌屈または背屈・掌屈双方の静的ストレッチを加えることは、安静休息を保つ場合に比較して、握力低下の抑制に効果的であり、また、その効果については、5試行ごとに加えられた静的ストレッチングと毎回のそれとの間に差のないことが明らかとされた。