著者
林 成起 佐藤 嘉伸 田村 進一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.320, pp.1-6, 1995-10-19

聾唖者達が会話で使う手話を計算機の上で処理し,認識しようとする研究には指文字,顔の表情,簡単な手の動き,または手話単語などの認識に関する研究が主で,文全体を対象とする研究はない.これは手話の文法構造や統語構造が一般言語とは違って,その文解析が困難であるからである.手話の構成素は手の形,手の位置,手の動き,掌の方向などがあるが,広い意味での手話には非手指信号,すなわち,目,眉毛,口などの顔の部位の変化や,頭部や身体の動きと傾きなどがある.この非手指信号は手話文の中で形態論的,統語論的な機能を持つ.従って,手話文の認識の際にもこの非手指信号を取り入れなければその文の正確な意味解析が困難となる.そこで,本研究では非手指信号の内イントネーションブレークを形態素として取り入れ,ASLを対象として手話文を11パターンに分類しその文解析を行った.
著者
林 成起 佐藤 嘉伸 田村 進一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.95, no.446, pp.71-78, 1995-12-22
被引用文献数
1

米手話の代名詞体系には一定の手話空間が代名詞として設定された後には、この空間が手話文のなかで文法的に使われ、その代名詞に相当する手話単語は明示的には表現されない。また、方向動詞には、その動詞のサインの中に、すなわち、動詞の位置や動き情報の中に動詞の主体と客体に対する情報が含まれていて、その動詞を含む文では主語や目的語が明示的には出て未ず、手話空間から参照される。そこで、手話を計算機の上で処理し、認識しようとすると、手話文では省略語が多いため、単に手話の構成素 - 手の形、手の位置、手の動き、掌の方向 - の解析だけではその文の正確な認識が困難である。従って、手話文を認識、解析する際には、代名詞として扱われる手話空間と動詞の位置や動き情報を互いに処理する必要がある。そこで、本研究ではASLを対象として手話空間の情報と方向動詞の位置や動き情報を考慮して、手話文解析を行なった。