著者
林 敬人
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

虐待ストレスに基づく内分泌系変化がもたらす神経系並びに免疫系の変化について包括的に検討した。まず,心理的虐待モデルである拘束ストレスマウス及び小児虐待死剖検例の検討によって,虐待ストレスによって副腎内分泌系に変動がみられ,それらを解析することは小児虐待の法医病理学的診断及び虐待期間推定の指標となり得る可能性が示唆された。神経系については,有意な結果は得られなかった。免疫系については,ストレスによる胸腺の萎縮には免疫系の分子CCR5発現が関与していることが示唆され,小児虐待の法医病理学的証明の新規マーカーとなる可能性,さらには虐待による胸腺萎縮を予防する標的となる可能性が示唆された。
著者
小片 守 林 敬人
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

小児・高齢者に対する身体的虐待に基づく多発外傷によって好中球が各臓器内に浸潤することを,好中球マーカーmyeloperoxidase,接着因子P-selectin,遊走因子interleukin-8等を指標とした免疫組織化学によって証明し,身体的虐待の法医学的証明法として有用であることを明らかにした。さらに,好中球が産生する組織障害因子がすでに発現しており,被虐待者は多臓器不全の前段階ともいうべき状態にある可能性が示唆された。
著者
小片 守 林 敬人
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

各種虐待の法医病理学的証明法の開発を目的として, まず高齢者虐待例の胸腺・副腎重量を対照例と比較したところ, 重量に有意差を認めなかった。しかしながら, 虐待期間が3ヶ月未満の虐待例の副腎重量は対照例に比して有意に増加していた。次に, 各種臓器に浸潤する白血球数を検討したところ, 特に肺・肝臓において虐待例で有意に増加しており, 高齢者に対する身体的虐待の法医病理学的証明法として有用である可能性が示唆された。