著者
趙 菲 林 治秀 田端 孝義
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.73-79, 2004-12-30

ヒトの経穴(右手の合谷又は右足の足三里)を電気鍼刺激し, レーザー血流計で両側手の指掌と両側足背の皮膚血流変化を測定した。経穴刺激による血流変化(増加又は減少)は刺激開始後の時間や被験者により差が見られた。刺鍼前の血流量を100%として, 全被験者の平均値で表すと, 15分間の合谷電気鍼刺激により, 同側及び対側の指掌の血流は留鍼5分後148%及び137%とそれぞれ有意に増加し, その後刺激前の値に回復した。又, 合谷刺激による両側足背の血流は留鍼中増加傾向を示し, 抜鍼後有意に増加した(同側の足背, 126%;対側の足背, 141%)。足三里電気鍼刺激では留鍼中両側足背の血流は変化せず, 抜鍼後血流は有意に減少した(同側の足背, 90%;対側の足背, 88%)。足三里刺激による両側指掌の血流には, 留鍼中及び抜鍼後とも有意な血流変化は認められなかった。以上の結果は合谷や足三里鍼刺激が手足の皮膚血流を変化させることを示し, この結果とラットを用いて行った同様の実験の結果とを比較検討した。