著者
林 直史 中川 朋子 松井 照明 杉浦 至郎 漢人 直之 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.37-45, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
29
被引用文献数
2

【目的】ピーナッツアレルギー(PA)の診断におけるAra h 2特異的IgE抗体(sIgE)検査の有用性と,PA患者における他のナッツ類アレルギー合併について検討した.【方法】2014年4月~2015年3月に,ピーナッツsIgE陽性者にAra h 2-sIgE検査を行った.ピーナッツ経口負荷試験(OFC)又は明らかな摂取歴・誘発歴からPAの有無が確定できた217人(そのうちPA群90人)に関して,臨床像を後方視的に検討した.【結果】Ara h 2-sIgE≧0.35UA/mLにおけるPA診断の感度85.6%,陽性基準である≧4.0UA/mLであれば陽性的中率93.1%,特異度96.9%であった.Ara h 2-sIgEは,OFC(n=42)における誘発閾値量や症状の重症度と有意な関連を示さなかった.PA群における他のナッツ類アレルギー合併者は9人(10.0%)であった.【結語】Ara h 2-sIgE陽性基準の妥当性が再評価された.PA患者に対しても,他のナッツアレルギーの有無を適切に鑑別診断する必要性が再確認された.