著者
林 祐行 冨田 耕治 大塚 千亜紀 大和 香奈子 一宮 斉子 吉岡 昌美 和田 明人 中村 亮
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.734-744, 1996-10-30
参考文献数
10
被引用文献数
20

小学校6年生児童116名を対象とし,永久歯齲蝕発病と3歳児健康診査における乳歯齲蝕罹患状況との関係を調査した。統計学的分析は,永久歯齲蝕に関与すると考えられる生活習慣および3歳児乳歯齲蝕罹患型の9項目を説明変量,DMFを目的変量とした数量化I類によって行った。この結果,最も関与の大きい項目は乳歯齲蝕罹患型であり(偏相関係数=0.181,順位1位),乳歯齲蝕罹患型を説明変量に加えることで,重相関係数は0.287から0.355に上昇した。また乳歯齲蝕罹患と他の説明変量として使用した生活習慣の間に内部相関は認められなかった。このことから,乳歯齲蝕の罹患状況が永久歯齲蝕発病に比較的大きな影響を与えていると考えられ,乳幼児期における健康指導・教育の重要性が示唆された。