著者
竹内 茂 大塚 恭弘 林 高志 永野 伸郎 安藤 哲郎 小林 充
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.197-201, 2017 (Released:2017-03-28)
参考文献数
10

透析時血管痛は局所冷却や加温などで対応されるが, 不十分なケースも多い. 透析時血管痛を呈する3症例に対し, マイクロコーン (ソマレゾン®) を用いた耳介治療を行った. 症例1は80歳代, 女性. 透析時のシャント肢の右肩血管痛に対し同側の耳穴 (SF-4) を治療し, visual analogue scale (VAS) が74→0となった. 症例2は50歳代, 女性. 透析時のシャント肢前腕痛に対し同側の耳穴 (SF-2) を治療し, VASが34→6に減じた. 症例3は80歳代, 女性. 透析中の頸静脈長期留置カテーテル留置側の上腕血管痛に対し同側の耳穴 (SF-4) を治療し, VASが78→0となった. いずれも痛みが出現する前に耳介治療を行い, 治療開始日より著効が得られた. 同様の治療を透析ごとに行うことにより, その後の痛みが予防できた. マイクロコーンによる加療は穿刺を必要としない簡便な治療法のため, 透析時血管痛に対する本治療の有効性が広く確認できれば, 今後普及する可能性がある.