著者
林坂 弘一郎 三道 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1819-1829, 1999-12-25
被引用文献数
5

受注開発されたソフトウェアが,信頼性受け入れ検査に合格し顧客に納入された後,開発段階におけるテストで検出,修正できなかったフォールトが原因となってソフトウェア障害を発生させることがある.このような場合,開発業者が直接フォールトを修正するか,あるいは保守代理業者が開発業者の代わりに保守を行っている.しかし,このような保守は,(1)その経費がソフトウェア開発費用に含まれている,(2)保守契約を結んでいない場合にはその都度有料で実施される,(3)保守契約を結んでいる場合には無料で行われる,のいずれかである.本研究では,保守サービスを契約しない場合の価格や,保守サービス契約に要する価格に対する適切な設定方法を明らかにすることを目的とし,ソフトウェアの信頼性理論とゲーム理論に基づいたソフトウェア保守サービス契約に関するモデルを提案する.
著者
林坂 弘一郎 三道 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.454, pp.125-128, 2002-11-08

現在の我が国では,特に家電製品のような製品は,標準で1年間の保証を伴うことが多い.保証を伴う製品の製造業者は,故障によって将来必要となる保証費用のために売上の一部を保証準備金として確保しておかなければならない.適切な保証準備金を設定するためには,必要となる保証費用を正確に見積もることが重要である.一方,通常の保証においては,保証期間中の故障に対して修理を行うが,保証期間中に何度も故障を繰り返す場合には,顧客からの信用を失わないために,サービスとして修理ではなく製品そのものを取替える製造業者が少なくない.しかしながら,このようなサービスを行うことによって,当初見積もっていた保証費用を大幅に超過してしまう恐れがある.したがって,取替えを行うことによって増加する費用を正確に見積もることが必要である.本研究では保証期間中の最初の故障に対しては小修理を行うが,以降の故障に対してはすべて新品に取替えるという保証を取り扱う.このような保証に対して,製造業者に必要となる期待費用を定式化する.更に,(a)最初の故障にのみ小修理を行うが以降は対応しない,(b)すべての故障に対して小修理を行う,という保証政策と期待費用の比較,分析を行う.