著者
岩田 久敬 小林 邦彦 中谷 哲郎 林田 卓也 泉 清
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.172-175, 1958 (Released:2010-02-22)
参考文献数
8

1. 小麦胚芽は生でも炒つたものでも, 還元型グルタチオン (G) 約100mg%と, 総G約250mg%を含んでいた。これを37℃で16日間貯えた場合に生胚芽では還元型G 40%以上を損失したが, 炒つたものでは少く, 20%以下を損失するに過ぎなかつた。これを更に30℃で80日間貯えた場合にGの損失は多かつた。然し炒つたものでは常に損失がやや少かつた。2. 小麦胚芽の炒つたものを約2年間室温に貯えた場合の損失は, 還元型Gは約93%で, 総Gは約68%であつた。3. 米胚芽は還元型G 40mg%, 全G 150mg%余を含んでいた。大麦胚芽は前者を20mg%, 後者を40mg%位含んでいた。そして貯蔵中の還元型Gの損失は大麦胚芽の方が少かつたが, 総Gの損失は両胚芽共に少かつた。4. 小麦粉のGは強力粉・普通粉・新鮮粉・未漂白粉に多くて, 還元型G約7mg%, 総G約30mg%であつた。その他の粉は前者3mg%, 後者20mg%位であつたが, 多くの場合に貯蔵した粉はこの値をほぼ最低値として保つていた。5. 一般に還元型Gは貯蔵中に速かに減少し, 総Gは減少がおくれ, 小麦粉の場合には数ヵ月間不変のこともあつた。