著者
山田 雅行 山田 真澄 羽田 浩二 藤野 義範 Jim MORI 坂上 啓 林田 拓己 深津 宗祐 西原 栄子 大内 徹 藤井 章男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_216-I_224, 2017 (Released:2017-09-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 5

平成28年熊本地震によって被災した益城町の倒壊建物が集中している地域を対象とした悉皆調査から,狭い範囲における被害分布の急変が見られた.この説明のために,常時微動を用いた地盤調査に基づいて地表面での揺れの推定を試みた. 常時微動は極小アレイ+1点の5点を基本とし,約62.5mメッシュごとに108箇所の観測を行った.各箇所でインバージョンを行い,地盤モデルを作成した. 治水地形分布図に氾濫平野または旧河道と記された比較的被害の小さい地区は,非常に軟弱な堆積層が5m程度以上存在することがわかった.非線形地震応答解析を行った結果として,本震時の地表面の揺れにおいて,低周波数成分が卓越し,1-2Hz(周期0.5~1 秒)の応答倍率が小さかったことが,比較的被害が小さいことの一因である可能性が考えられる.