著者
稲葉 晶子 枷場 泰孝 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.207-215, 1996-02-25
参考文献数
11
被引用文献数
33

現在, 協調作業/学習を支援するシステムの研究が, 活発に行われている. 協調作業/学習を支援するためには, ユーザにコミュニケーションの手段を提供することは不可欠であり, 更にシステムが作業/学習状態を同定し, 支援する機能が望まれる. しかし, それらの実現を目指すシステムにおいても, ユーザが状態を把握することを容易にするための機能を提供するに留まり, 実際に判断を行うのはユーザ自身であることが多い. 本研究では, 協調学習の状態を同定し, それを支援するシステムの構築を目的とする. 具体的には, 協調学習場面で行われるコミュニケーションを分析し, 議論という観点からグループの状態をとらえ, 議論を支援することにより協調学習の促進を図る. 議論場面で交わされる発言は, 多様な情報を有する. それらを以下の二つに分類した. すなわち, 1)対象領域における問題解決に関連した解法知識に関する情報, 2) Speech・Act理論に基づく, 問題解決とは独立な発言の種類に関する情報である. 本研究では, 後者の情報を用いることにより, 領域知識を用いない議論支援を実現する.