著者
大富 あき子 北倉 芳久 染谷 清一 橋本 彦尭
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.953-959, 1992-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

かえしのねかしに有用な微生物が関与しない場合の,“ねかし”操作が品質に与える影響を調べ,以下の結果を得た.かえしをねかした場合,かえしが大気に接触する開放系には,品質の改善及び嗜好性の改善が認められ,密封したかえしには品質の改善が認められなかった.微生物の菌数は,どちらのかえしにも同じように酵母の若干の増殖が見られ,その他の菌には経時変化は見られなかった.窒素雰囲気下でもかえしの熟成効果は認められたので,空気による酸化褐変はかえしの熟成による品質改善に影響してはいなかった.開放系でのねかしに伴いアルコール分の蒸発,特に比較的高蒸気圧な成分が減少していることが認められた.しかし高蒸気圧の1成分であるエタノールの減少は官能評価に影響は与えていなかった.以上より,かえしのねかしに有用な微生物の関与しない場合の熟成と思われる品質の改善は,エタノールや水と同時に蒸発するような高蒸気圧成分の揮発による現象ではないかと推定できた.