著者
礒田 正美 野村 剛 柳橋 輝広 岸本 忠之
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.2-12, 1997-01-01
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究は,数学的コミニュケーション力育成という今日的教育目標に対して,一斉指導の場面で二人教師が対立意見を闘わす討論を常設したティームティーチングの新たな方法を導入することで,生徒がいかに二人教師の討論に関係を持ち,授業への参画の仕方を変化させていったかを1年にわたり記録し,分析したものである.,生徒は,教師の討論に耳を傾けることにはじまり,自然に討論に口を挟むようになり,やがて,自由に意見を言うようになった.,そして,生徒が自ら教師の討論を代弁し,さらには生徒どうしが自ら討論を起こすようになっていった.,その分析から,教師が討論の見本を示せば,生徒も漸次討論に加わるようになり,やがて自ら討論できるようになること,自ら討論に加わることにこそ価値を認めた数学の授業観が生徒に育つことが確認された.,そして,適切な見本を示し,生徒の討論への参画の仕方が漸次進化するように年間指導計画を構成し,日々の学習指導を工夫すればすれば,討論は指導可能であることが示唆された.,