著者
柳沢 啓 大山 卓爾 熊沢 喜久雄
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.371-376, 1986-08-05
被引用文献数
3

根粒による固定窒素と培養液中の硝酸を同時に利用する生育条件下でダイズを水耕栽培し,開花期(7月10日),莢生長期(7月24日)および子実生長期(8月7日)の初めに^<13>CO_2と^<15>N_2または^<13>CO_2 と^<15>NO_3の二重標識処理を行ないその後の^<13>Cおよび^<15>Nの分配を追跡した。1)どの時期に同化した^<13>CO_2も同化直後に速やかに各器官へ転流する。しかしその後の^<13>Cの分配の変化はゆるやかでありNの場合ほど顕著ではなかった。2)根から吸収したNO_3-^<15>Nはどの時期に吸収した場合も処理直後には約90%が根と葉に見出された。収穫時には葉身と根の分配率は減少し子実および莢に再分配された。3)根粒で固定した^<15>N_2の挙動は^<15>NO_3と著しく異なっていた。どの時期に固定した場合も処理直後にはおもに根粒と葉身に分配していた。開花期の初めに固定した^<15>N_2は収穫時に子実への再分配はほとんど認められなかった。しかしながら莢生長期および子実生長期の初めに固定したN_2-^<15>Nは収穫時までに子実へ高い割合で分配され,同じ時期に吸収したNO_3-^<15>Nよりも高い割合であった。