著者
赤田 尚史 柳澤 文孝 本山 玲美 川端 明子 上田 晃
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 : 日本雪氷協會雜誌 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.173-184, 2002-03-15
被引用文献数
9 4

冬季に,日本海側を中心に湿性降下物中に含まれる非海塩性硫酸イオン濃度が増加する現象が見られ,その原因として中国から冬季北西季節風によって硫黄化合物が輸送されてきていると言われている.その現象を明らかにするために,日本各地の湿性降下物に含まれる非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比を測定した.その結果,硫黄同位体比は各地とも夏に低く,冬に高いという季節変化を示した.しかし,冬季の高い硫黄同位体比に違いが見られた.そこで高層天気図を用いた流跡線解析と東アジア地域で産出・使用されている化石燃料の硫黄同位体比から硫黄同位体比の違いを検討した.中国では北部ほど高い同位体比を持った石炭が燃料として使用されていることから,冬季北日本には中国北部からロシア極東地域で排出された高い同位体比の石炭燃焼起源硫黄酸化物が輸送され,また西南日本には朝鮮半島付近から中国中部及び南部で排出されたものが混合して,同位体比が平均化されて輸送されてくることが推定できた.
著者
柳澤 文孝
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

大気中に存在する物質は乾性沈着あるいは湿性沈着によって除去されて地上に沈着する。降雨が落下する間に大気中にある物質を取り込むウオッシュアウトを野外で実測する試みが国内外で様々なされてきたが、実測された例はなかった。そこで、中国四川省峨眉山に降雨採取容器を設置して降雨の試料を採取し、化学分析を行うと共に分析結果の解析を行った。降雨に含まれる成分は高度が下がるに伴って増加する。両者の関係を数式化した。