著者
吉田 知由 早川 峰司 本間 多恵子 小野 雄一 和田 剛志 柳田 雄一郎 澤村 淳 丸藤 哲
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.519-522, 2015-11-01 (Released:2015-11-06)
参考文献数
17
被引用文献数
1

抗痙攣薬であるゾニサミドは,副作用として発汗障害を認めることが知られており,小児てんかんの分野での報告は散在するが,成人症例での報告は少ない。今回,頭部外傷の急性期から亜急性期にゾニサミドを使用した成人症例で,発汗障害からの高体温を来し,感染症などとの鑑別に苦慮した症例を2例経験した。症例1は21歳の男性,自動車事故で受傷し,入院22日目からゾニサミド300 mg/dayの使用を開始した。その後39℃の高体温を認めたが感染徴候はなく,ゾニサミドを減量したところ3日後に解熱した。症例2は25歳の男性,自動車事故で受傷し,入院3日目からゾニサミド300 mg/dayを使用していた。40℃近い高体温の持続を認めたためゾニサミドを中止したところ,3日後に解熱した。今回,ゾニサミドが原因と思われる高体温症例を経験したが,成人症例と言えどもゾニサミドによる発汗障害からの高体温を来しうるため,高体温時の鑑別として忘れてはならない。