著者
柴垣 芳夫 水本 清久
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1CET1温度感受性変異体の分離とmutational analysis昨年度分離した温度感受性変異体(ts変異体)を21株についてすべてDNAシークエンスを行い分類を行ったところ、7種類の変異体(cet1^<ts>-1〜7)に分類することができた。変異が認められた部位は、我々が欠失変異体を用いて、Ceg1-Cet1相互作用に必要な領域、TPase活性に必要な領域としてマッピングした領域の中あるいはそのごく近傍に存在した。また、cet1^<ts>-3,5〜7は複数の部位に変異が入っていたため、個々にアミノ酸変異体作成し、それぞれのアミノ酸変異の酵母の生育および酵素活性に与える影響を調べた。その結果、cet1^<ts>-1;G527D,cet1^<ts>-2;S419L,cet1^<ts>-3;T396I/T400Iは、TPase活性はそれほど大きく減少しなかったが、細胞は温度感受性を示した。このことは、これらのアミノ酸変異がTPase活性以外のCet1機能に影響を与えた結果、温度感受性になったことを示唆している。R532K変異はTPase活性が大きく減少したにもかかわらず細胞は温度感受性にならなかった。このことはR532がTPase活性に重要なアミノ酸であることを示唆している。またR242K変異はCeg1-Cet1相互作用領域の変異で、単一変異のみで温度感受性になった。このことはR242がCeg1-Cet1相互作用に重要な役割をしていることを示している。しかも、R242K/A257Nあるいは、R242K/E200Kの変異体では温度感受性は見られなかったことから、A257,E200は、R242と協調してCeg1-Cet1相互作用に関与していることが示唆された。2 キャップ構造を持つRNAの効率的な検出法の確立酵母細胞抽出液を用いてキャッピング酵素の転写反応に与える影響を調べる上で、転写産物にキャップ構造が付加されているか否かを、簡便かつ定量的に検出する方法の確立はキャッピング酵素と転写の関係を調べてゆく上で必要不可欠である。そこで、cis-diolと架橋を作ることが知られているBoronateを側鎖に持つアクリルアミド誘導体(N-acryloyl aminophenyl boronic acidを合成し、電気泳動的にcap構造の持つRNAの分離を行った結果、少なくとも数100ntのRNAについては、cap構造の有無によって分離することができた。現在、この系を用いてキャッピングの時期などを検討中である。