著者
野本 明男 岡田 吉美 豊島 久真男 吉倉 廣 永井 美之 石浜 明 豊田 春香 永田 恭介 水本 清久
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

本年度は、重点領域研究「RNAレプリコン」のとりまとめを行った。平成7年6月12日に北里大学において、第1回総括班会議を開催し、とりまとめに関する話し合いが行われた。この会議では、これまでのとりまとめ方法のみならず、今後のRNAレプリコン研究発展を目指した本年度の活動が話し合われた。その結果、「RNA情報のフロンティア」と題する一般公開シンポジウムを11月28、29日の両日、日経ホールにて開催することが決定した。このシンポジウムは重点研究「エイズの病態と制御に関する基礎研究」(代表・永井美之)との合同シンポジウムとし、RNA情報の多元的制御メカニズムを紹介、さらにRNA研究の重要性と面白さを一般にアピールすることであった。例年のように、各種RNAレプリコン単位のミニシンポジウムも開催することが決定され、植物のRNAレプリコン会議(世話人・渡辺雄一郎)およびレトロウイルス複製会議(世話人・岩本愛吉)が、それぞれ岡山大学資源生物研究所(平成7年10月30日)および東京大学医科学研究所(平成8年1月20日)において開催された。さらに、この領域の若手を世話人(永田恭介、小林信之、中西義信)とした公開シンポジウム「ウイルスを利用する人類の知恵-アポトーシス制御、ウイルスベクター、遺伝子治療」を平成8年2月6日に東京大学山上会館で開催した。いずれのシンポジウムでも多くの参加者が集まり、熱のこもった討論が行われた。本年度の最後には、ニュースレター最終版を発行し、来年度の前半に領域代表者による研究報告書の作成が行われることが決定されている。
著者
永井 美之 水本 清久 石浜 明 田代 真人 永田 恭介 野本 明男
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1993

ウイルスの体内伝播機構や臓器向性、宿主域などを決定する機構をウイルスと宿主相互の特異的分子認識の立場から解析する「ウイルス病原性の分子基盤」という新視点からの研究グループを組織し、重点領域研究を申請する準備活動を行った。具体的には、シンポジウム「ウイルス遺伝子機能研究の新展開」(平成5年12月7〜8日、重点領域研究RNAレプリコンとの共催)を開催、わが国における当該分野の研究の現状を分析し今後の発展のさせ方について討議した。また班会議(同年8月28日、11月8日)、活動者会議(同年9月11日、12月1日、12月25日)においては、国際専門誌におけるわが国研究機関の論文発表状況の調査、シンポジウムの総括、なども行い、重点領域研究申請へと集約した。その結果、ウイルス複製の各過程に必須の生体側分子を分離・同定し、これら分子の生体内での組織分布を明らかにすることにより個体への種および組織特異的なウイルス感染の分子メカニズムを追求すること、すなわち、ウイルス複製と病原性発現機構を分子の水準で確立すべき機が熟していること、またそのことが同時に新しい生体分子の発見や既知生体分子の新機能の発見をも約束することを強く認識した。このように本領域が活気あふれる領域であるとの再確認の上に立ち、「ウイルス感染を決定する生体機能」を平成7年度発足重点領域研究として申請する運びとなった。尚、本総合研究の研究代表者永井美之が、同じく平成7年発足の「エイズ重点」申請代表者に強く推されている状況についても種々討議した。その結果、「エイズ重点」は永井が領域申請代表者を務めることとし、「ウイルス感染を決定する生体機能」は重点領域研究「RNAレプリコン」(平成4年〜6年度、代表 野本明男)の継承と飛躍の意味を込めて野本が担当することとした。
著者
柴垣 芳夫 水本 清久
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1CET1温度感受性変異体の分離とmutational analysis昨年度分離した温度感受性変異体(ts変異体)を21株についてすべてDNAシークエンスを行い分類を行ったところ、7種類の変異体(cet1^<ts>-1〜7)に分類することができた。変異が認められた部位は、我々が欠失変異体を用いて、Ceg1-Cet1相互作用に必要な領域、TPase活性に必要な領域としてマッピングした領域の中あるいはそのごく近傍に存在した。また、cet1^<ts>-3,5〜7は複数の部位に変異が入っていたため、個々にアミノ酸変異体作成し、それぞれのアミノ酸変異の酵母の生育および酵素活性に与える影響を調べた。その結果、cet1^<ts>-1;G527D,cet1^<ts>-2;S419L,cet1^<ts>-3;T396I/T400Iは、TPase活性はそれほど大きく減少しなかったが、細胞は温度感受性を示した。このことは、これらのアミノ酸変異がTPase活性以外のCet1機能に影響を与えた結果、温度感受性になったことを示唆している。R532K変異はTPase活性が大きく減少したにもかかわらず細胞は温度感受性にならなかった。このことはR532がTPase活性に重要なアミノ酸であることを示唆している。またR242K変異はCeg1-Cet1相互作用領域の変異で、単一変異のみで温度感受性になった。このことはR242がCeg1-Cet1相互作用に重要な役割をしていることを示している。しかも、R242K/A257Nあるいは、R242K/E200Kの変異体では温度感受性は見られなかったことから、A257,E200は、R242と協調してCeg1-Cet1相互作用に関与していることが示唆された。2 キャップ構造を持つRNAの効率的な検出法の確立酵母細胞抽出液を用いてキャッピング酵素の転写反応に与える影響を調べる上で、転写産物にキャップ構造が付加されているか否かを、簡便かつ定量的に検出する方法の確立はキャッピング酵素と転写の関係を調べてゆく上で必要不可欠である。そこで、cis-diolと架橋を作ることが知られているBoronateを側鎖に持つアクリルアミド誘導体(N-acryloyl aminophenyl boronic acidを合成し、電気泳動的にcap構造の持つRNAの分離を行った結果、少なくとも数100ntのRNAについては、cap構造の有無によって分離することができた。現在、この系を用いてキャッピングの時期などを検討中である。