著者
柴崎 修 水野 正浩 伊藤 彰紀
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.143-148, 2012 (Released:2013-07-01)
参考文献数
7

めまい発作を反復するメニエール病難治例に対して、ステロイドホルモン剤の変更がめまい発作の抑制に有効であった 4例を経験した。いずれもプレドニゾロンからデキサメタゾンへの変更によってめまい発作が抑制された。ステロイドホルモン剤の使用にあたっては、副腎不全など副作用の発生に注意しなければならないが、今回の症例では明らかな副作用は確認されなかった。めまい発作を反復するメニエール病難治例に対しては、ゲンタマイシン鼓室内注入や内リンパ嚢開放術、前庭神経切断術などの観血的治療が推奨されているが、これらの治療を行う前に、ステロイドホルモン剤の慎重な投与と長時間作用型ステロイドへの変更についても、検討してみる必要があると考える。
著者
柴崎 修 加瀬 康弘
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.53, no.Supplement2, pp.s79-s84, 2010 (Released:2011-08-15)
参考文献数
1

本邦における外耳道局所への薬液投与方法は, 点耳液の滴下と軟膏剤の塗布に限られている。本研究では, 外耳道への的確で簡便な薬液投与方法として外耳スプレーの可能性を検討した。外耳へスプレーする器具は試作モデルを用いた。点耳液と外耳スプレーそれぞれについて, 円筒状の外耳モデルへの噴霧およびボランティアでの外耳への使用感についてのアンケートを行い, 比較検討した。その結果, 外耳スプレーは点耳液に比較して, 外耳道全周に薬液が噴霧されることが確認された。また, 使用感については, 圧迫感などの回答が得られたが, 利便性のメリットを上回る程の障害ではない点が確認できた。外耳スプレーは外耳への新たな薬液投与方法として, 本邦でも今後十分に臨床応用が検討されるべき手段であると考える。