著者
柴崎 貢志
出版者
大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

これまで報告されてきたTRPV4の機能(皮膚における外界の温度受容体としての機能)とは全く異なり、海馬TRPV4は神経活動調節因子として機能している可能性が高いと考えられた。この可能性を検証するために、野生型とTRPV4欠損マウスの海馬より培養神経細胞を調整し、静止膜電位および発火特性を調べた。その結果、海馬神経細胞において、TRPV4は体温により活性化されており、その活性化を介して静止膜電位を脱分極させ、神経細胞が興奮しやすい土台環境を産み出していることが示唆された。さらに、個体レベルでのTRPV4の学習・記憶に果たす役割を調べ、TRPV4が脳内温度で恒常的に活性化されていることを証明した。
著者
柴崎 貢志
出版者
群馬大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

脳内の局所温度を自在にコントロールすることで、神経疾患の画期的な治療法となる可能性がある。この点に着目し、マウスの脳内に埋め込むことで局所(1mm3周囲)脳内温度を上は42℃、下は28℃まで加温冷却出来る局所脳内温度可変システムを開発した。そして、脳内冷却に伴う組織損傷や細胞死の有無を調べた。その結果、脳内温度を正常温度の37℃から30℃まで低下させた場合には、全く組織損傷や細胞死は観察されなかった。これらの点より、局所脳冷却を治療に用いた場合には組織損傷を伴う副作用は生じないことが確認出来た。そして、てんかん原性域を30℃まで低下させることで充分にてんかん発作の抑制を出来ることを見いだした。