著者
柴田 一帆 林 貴宏 尾内 理紀夫 竹中 孝真 森 正弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.242, pp.109-114, 2007-09-27
被引用文献数
1

これまで,動画中の物体追跡研究は追跡精度の向上を目的としていた.しかし,追跡ミスを完全に無くすことは難しく,追跡ミスが発生した場合に物体領域の再指定などユーザによる修正作業が必要になると考えられる.本論文では,追跡ミスが発生することを前提として,ユーザによる修正作業の容易な物体追跡手法を提案する.提案手法では,グラフカットに基づく物体領域抽出手法を動画中の物体追跡へと応用する.グラフカットに基づく物体領域抽出は,物体領域内と背景領域内にユーザが描いた2種類の線から物体領域を抽出するという特徴を持つ.提案する物体追跡手法では,まずこの特徴を利用し,動画中の最初のフレーム画像においてユーザが描いた2種類の線から物体領域を抽出する.そして2番目以降の各フレーム画像では,ユーザが与えた線を追跡することで,物体領域を自動抽出する.線の追跡に基づく物体追跡を行うため,追跡ミスが発生した場合でも,新たな線の追加や既存の線の削除を行うだけで,容易に追跡ミスが修正可能となる.実験により提案手法と従来の物体追跡法との追跡性能を比較し,提案手法の有効性を議論した.